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マムシグサ/まむしぐさ/蝮草
Jack in the pulpit
【マムシグサとは】
・関東地方以西の本州、四国及び九州に分布するサトイモ科の多年草。低山の湿地や道端、林の木陰などに自生し、葉の柄からなる偽茎にマムシの背中を連想させる斑模様があることからマムシグサと命名された。別名はムラサキマムシグサ(紫蝮蛇草)で、ヘビノダイハチ、クチナワンヨネゴなどの地方名がある。
・同じサトイモ科のコンニャクの仲間であり、ヤマゴンニャク(山蒟蒻)やヤブコンニャク(藪蒟蒻)といった別名があるが、全草に蓚酸カルシウムからなる針状の結晶を含み、食用にはならない。漢方や民間療法では毒抜きをした根茎を痰や痙攣の鎮静に使うが、誤って食べると嘔吐、意識障害、心臓麻痺などを引き起こす。
・マムシグサはアジア、アフリカ、北米などに200種類以上分布するテンナンショウ(天南星)の仲間だが、葉の形態や大きさなどに地域差、個体差が大きく、それを変種として扱えば日本だけで30~40種類以上が育つという。
・葉は細長い楕円形の小葉が10枚前後、鳥の足跡のように連なってできる。真ん中にある小葉は長さ10~25センチ、幅3~8センチで最も大きい。上部には二組の葉があり、下部には10~25センチの柄を持つ葉がある。
・茎のように見えるのは葉の柄が合体したもので、偽茎と呼ばれる。本当の茎は地下にあり、扁平した球形で、その上部から細かな根を生じる。根は地中でイモのように大きくなる。
・開花は4~6月で葉の間から伸びた肉厚な花軸の頂部に、紫色をした鶴の頭のような花を不気味に咲かせる。花びらのように見えるのは「苞(仏炎苞)」で、本当の花はその中で棒状に直立する。苞には縦に白い縞模様が入り、先端は蛇の舌のように垂れ下がる。腐った肉のような匂いでハエなどの昆虫を誘い込むが、花言葉は「壮大」など。
・果実はトウモロコシのように軸に群がってでき、秋に熟すと朱色に近い赤に熟す。この果実と根は猛毒で、誤食すると死に至ることもある。
【マムシグサの品種】
アオマムシグサ、カントウマムシグサ、ホソバテンナンショウ、オモゴウテンナンショウ、ムロウテンナンショウなど多数。
マムシグサの基本データ
【分 類】サトイモ科/テンナンショウ属
多年草
【漢 字】蝮草(まむしぐさ)
【別 名】マムシソウ
ムラサキマムシグサ
ヘビノダイハチ
クチナワンヨネゴ
【学 名】Arisaema serratum
【英 名】Jack in the pulpit
【開花期】4~6月
【花の色】紫褐色
【草 丈】~80cm