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ノアザミ/のあざみ/野薊
Japanese meadow cabbage
【ノアザミとは】
・本州、四国及び九州に分布するキク科の多年草。日当たりがよく湿気の多い場所を好み、野原、丘陵、山林などに自生する。アザミには品種や変種が多く、世界に250種以上、日本には100近くあるというが本種は日本のアザミの代表種であり、単にアザミという場合は本種を示すことが多い。
・葉は羽根状に裂け、その縁はギザギザになり、先端にはトゲがある。若葉のトゲは柔らかいため食用できるが、夏以降の成葉は手で触れると多少チクチクする。花の美しさに惹かれて触れると、痛い目に遭う(=欺かれる)のでアザミと名付けられたという説が馴染みやすいが、正式なアザミの語源は分かっていない。
・葉は茎から互い違いに生じるが、その根元は茎を抱くようになっている。茎は最大1mほどまでまっすぐに伸びるが、上部で枝分かれが多い。
・アザミ類の花期は夏~秋だが、本種は早ければ旧暦の初夏にあたる5月に咲き、ハルアザミとの別名がある。花は小さな管状で、茎の頂部で半球形に集まって咲く。紅紫色になるのが普通だが、白やピンク、それらの中間色になるものもある。
・花は時期によって雄花から雌花に変わるが、花色の濃い時期は雄の性質を持ち、ハナアブやカラスアゲハなどが訪れて花粉を媒介する。花の後にできる種子には綿毛があり、風によって拡散される。
・苞と呼ばれる花の基部は球形で、これにもトゲがある。触れるとネバネバするため、これにちなんだノミトリバナ(蚤取花)という別名がある。また、花の形を化粧用のブラシに擬え、地方によってはマユツクリ(眉作り)やキツネノオシロイバケ(狐の白粉刷毛)と呼ぶ。
・春から夏にかけて採取した若葉や茎は、揚げ物や油炒めにして食べることができる。根は薬用になり、生のまま摺り潰したものは腫れ物に、また、乾燥させた根を煎じたものは利尿や神経痛に効果があるという。
【ノアザミの品種】
・ドイツアザミ
ノアザミの園芸品種で、江戸時代から昭和初期までハナアザミと称していたものの改良種。原種より背丈が低くて扱いやすいこと、花色にバリエーションがあること、ハウス栽培が可能なことから、庭植えや切花用として市場での流通が多い。ドイツとは関係なく、花の上品さをドイツという響きで表したものとされる。
【ノアザミに似た植物】
名前からして紛らわしいがノアザミとは別物。花はそっくりだが開花は9~10月でノアザミより遅く、苞は触れても粘り気がない。また、ノハラアザミは開花期でも地際に根生葉がある。
ノアザミの基本データ
【分 類】キク科/アザミ属
多年草
【漢 字】野薊(のあざみ)
【別 名】アザミ/ノミトリバナ(蚤取花)
マユツクリ(眉作り)/眉はき
キツネノオシロイバケ(狐の白粉刷毛)
【学 名】Cirsium japonicum DC
【英 名】Japanese meadow cabbage
【開花期】5~8月
【花の色】紅紫、白、ピンク
【草 丈】~100cm