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ナルコユリ/なるこゆり/鳴子百合
【ナルコユリとは】
・本州、四国及び九州(稀に北海道)に分布するユリ科の多年草。山地にある林の縁や草原に自生するが、似たようなアマドコロに比べるとやや海抜の高い場所に見られる。
・花や実の並ぶ様子が、かつて稲田で雀を追い払うのに使った「鳴子(鳥が触れると音が出る仕掛けで、縄に竹をぶら下げて作った)」に似ているとして、ナルコユリと命名された。別名はナルコラン、ヤマドコロ、チョウチンバナなど。
・初夏に咲く涼しげな花を観賞するため庭園に植栽されるが、乾燥させた根茎は江戸時代を代表する滋養強壮薬であり、生薬名を「黄精」という。ただし、中国でいう黄精はカギクルマバナルコユリの根茎であり、本種はその代用品。
・開花は5~6月で、葉の付け根から伸びた花柄が3~5つに分かれ、緑白色を帯びた小さな花をぶら下げる。花は長さ2.5センチほどの筒状で先端が6つに裂けるが、大きく開くことはない。花の様子はアマドコロによく似るが、ナルコユリの方が花数は多い。
・花の後には水分の多い果実ができ、暗い緑色から黒色に熟す。大きさは大豆ほど。一見すると食べられそうだが、毒性があって食べられない。
・ナルコユリの茎は断面が円形で、多角形になるアマドコロとな異なる。上へ行くに従って斜めに曲がり、枝分かれはしない。葉は長さ8~13で先端が尖り、茎から互い違いに生じる。裏面には葉脈に沿って小さな突起があり、手で触れるとザラつく。大きくなった葉からは想像しにくいが、春先の若菜は山菜として食用になる。
・地下にある根茎は、短い間隔の節があり、肥大して肉質化する。薬用にするのは、開花期か落葉期に採取したもので、ヒゲ根をむしって乾燥させたものを煎じて飲んだり、ナルコユリ酒(黄精酒)として飲用する。盛岡には根茎のエキスを使った黄精飴を売る店が現存する。
【ナルコユリの品種】
・オオナルコユリ
名前のとおり、花も草丈もより大きくなる品種で、茎は高さ1mにもなる。
ナルコユリの基本データ
【分 類】ユリ科/アマドコロ属
多年草
【漢 字】鳴子百合(なるこゆり)
【別 名】ナルコラン/ヤマドコロ
チョウチンバナ
【学 名】Polygonatum falcatum
【英 名】Solomon's Seal
【開花期】5~6月
【花の色】緑白色
【草 丈】~80cm