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センニンソウ/せんにんそう/仙人草
Sweet autumn clematis
【センニンソウとは】
・北海道から沖縄まで日本各地に分布するキンポウゲ科センニンソウ属の蔓性多年草(あるいは亜低木)。日当たりの良い場所を好み、林縁や草原のみならず、道端の藪や土手などで普通に見られる。
・名前の由来には諸説あるが、果実にできる銀白の綿毛を仙人の髭や白髪に見立てたとする説が一般的。花や果実に観賞価値があるものの、株全体にプロトアネモニンという有毒成分を持ち、有毒植物として知られる。
・開花は夏から初秋で、葉の脇から伸びた花茎に純白の花が円錐状に集まって咲く。直径3センチ弱で花弁はなく、4枚ある萼が花弁のように十字型に開く。花はボタンヅルに似るが、多数ある雄しべは萼よりも短い。一面を覆うように咲き、甘い香りを放つ。果実は扁平した卵形の種子6粒が集まってでき、熟すとオレンジ色になる。
・葉は卵形の小葉が3~7枚集まって羽根状になり、花がよく似るボタンヅルとは全く異なる。葉の縁は滑らかでギザギザがなく、曲がりくねった葉柄が他物に絡まりながら育つ。
・葉や茎に触れると肌がかぶれるが、手首の内側に包帯等で固定すると扁桃炎に効能があるとする民間療法がある。また、根を乾燥させたものは漢方で「威霊山」と呼ばれ、神経痛や腰痛、利尿に効果があるとされる。しかし、誤飲すれば嘔吐、下痢、腹痛、胃腸炎、痙攣などの症状を引き起こすため軽々に扱うのは危険である。
・センニンソウの地方名は数多く、ウシノハオトシ、ウシノハコボシ、ウシノハコボレ、ウマノハカケソウ、ウマクワズなど、牛馬もこれを食べないことに由来するもの、ハッポウソウ(発疱草)、ハレグサ(腫草)など、枝葉に触れると炎症を起こすことに由来するもの、センニンカズラ、ジイバナカズラ(爺花蔓)など果実の形態に由来するものがある。
・蔓は緑色の円柱形で疎らに分岐する。下部は木質化し、秋に伸びた新枝も含めて枯れずに越冬する。このため、センニンソウを草ではなく木として扱う例も多い。
【センニンソウの品種】
・ヤンバルセンニンソウ
屋久島などに分布する品種で、本種よりも葉が肉厚になる。
・キイセンニンソウ
紀伊半島南部及び熊本県の一部に見られるセンニンソウの仲間。葉柄の上部に節があり、茎は冬季に乾燥すると黒変する。
【センニンソウに似た花】
よく似た花を咲かせるが、落葉性であること、葉がボタンの葉のようになること、雄しべが萼と同じくらいの長さになることで見分けられる。
花は全く異なるが、似たような果実ができる近縁種。
センニンソウの基本データ
【分 類】キンポウゲ科センニンソウ属
蔓性多年草(あるいは亜低木)
【漢 字】仙人草(せんにんそう)
【別 名】ウシノハオトシ/ウシノハコボシ
ウシノハコボレ/ウマノハカケソウ
ウマクワズ/ハッポウソウ(発疱草)
ハレグサ(腫草)/センニンカズラ
ジイバナカズラ(爺花蔓)
【学 名】Clematis terniflora
【英 名】Sweet autumn clematis
【開花期】8~10月
【花の色】白
【草 丈】~100cm