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サラシナショウマ/さらしなしょうま
晒菜升麻
Kamchatkan bugbane
【サラシナショウマとは】
・北海道~九州の各地に分布するキンポウゲ科の多年草。山間の谷や林の木陰など、暗くて湿気のある場所に自生するが、冷涼な高地では日向にも見られる。
・サラシナの漢字表記は「更科」ではなく「晒菜」であり、水に晒した若菜を食用とすることに由来する。ちなみにショウマは中国語を起源とするが詳細は分かっていない。
・漢方では乾燥させた根茎を解熱や解毒に使い、生薬名を「升麻(しょうま)」という。野草としての別名はクロショウマ、ヤサイショウマ、ニッコウショウマなど。
・開花は夏から秋で草丈が2mほどになるため、よく目立つ。小さな白い花がボトルブラシやロウソクのように集まって咲き、甘い香りを放つ。花弁や萼片は開花するとすぐに脱落し、乳白色をした雄しべの花糸や葯が残る。蕾の段階で白く見えるのは萼にあたる。花の後には翼のある長さ3ミリほどの果実ができる。
・サラシナショウマの成葉は濃緑色で表面には多少の光沢があり、直立する丈夫な茎から生じる。食用にするのは早春、茎が伸びる前に地際に生じた若葉だが、他のキンポウゲの仲間と同様、有毒なアルカロイドを含む。このため、1~2日流水に晒し、茹でてアク抜きしたものを御浸しなどにして食べるが、不適切な下ごしらえは嘔吐、下痢、心臓麻痺などを引き起こし、症状がひどい場合は命に関わる。
・地下茎(=升麻)は肥大して横に伸びており、たくさんのヒゲ根を生じる。掘り起こすには手間が掛かるが、薬効があることで乱獲され、現在市場に出回る升麻は中国産のキタショウマであることが多い。
・升麻には抗炎症作用があり、江戸時代の名医、原南陽が考案したとされる「乙字湯(おつじとう)」は、切らずに治る痔の薬として注目された。民間療法では煎じた根茎を口内炎、扁桃腺炎、汗疹などの症状緩和に用いる。
【サラシナショウマに似た草花】
サラシナショウマよりも標高の低い場所に分布し、背丈がより低くなる。花穂が複数に分岐し、分岐した花穂それぞれに花がまばらに咲くため、より清楚な印象を与える。葉が食用にならないためイヌショウマと呼ばれる。
古い名をショウマという。より細い花穂にまばらに開花する。サラシナショウマの代用として漢方に用いる。
・このほかオオバショウマ、キケンショウマ、トラノオ、シライトソウなどが似る。
サラシナショウマの基本データ
【分 類】キンポウゲ科
サラシマショウマ属
多年草
【漢 字】晒菜升麻
(さらしなしょうま)
【別 名】クロショウマ
ヤサイショウマ
ニッコウショウマ
【学 名】Cimicifuga
simplex Wormsk
【英 名】Kamchatkan bugbane
【開花期】7~9月
【花の色】白
【草 丈】~200cm