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キチジョウソウ/きちじょうそう/吉祥草
Chinese lucky grass
【キチジョウソウとは】
・中国あるいは日本を原産とするキジカクシ科キチジョウソウ属の多年草。その起源には諸説あるものの、古い時代に中国から日本へ渡来したものが野生化したという説が有力。東アジアのキチジョウソウ属は本種のみ。湿気のある日陰地を好み、日本では関東地方以西の低地や樹林内に見られる。
・キチジョウソウという名前は、吉祥寺に多い草ではなく、この花が咲くと家に良いこと(=吉祥)が起きるという中国の言い伝えに基づく。別名は吉祥蘭(キチジョウラン)、観音草(カンノンソウ)など。中国ではヤブランやリュウノヒゲと同じように咳止めの薬草として使う。
・開花は他の花が少ない9~12月で、葉の間から長さ10センチ前後の短い花茎を立て、10輪程度の小花が下から順に咲く。淡い紅紫色をした肉厚な花弁6枚は、開花が進むと反り返り、中にある6本の雄しべが目立つようになる。
・キチジョウソウの花言葉は「吉事」だが、開花が稀なわけではなく、葉の長さや葉の多さの割に花穂が小さく、かつ花数が少ないため花を見付けにくいことによる。
・花の後には球形の果実ができ、翌年の秋になると紅紫色に熟す。果実は直径5ミリほどで水分が多く、中には卵形をした数粒の種子が含まれる。果実は野生動物の食餌となりこれによって散布される。
・キチジョウソウの繁殖力は高く、似たような葉を持つヤブランと同じように半日陰でも丈夫に育って群生する。根や茎は地表を這うように横へ伸び、そこから長さ10~30センチほどの葉が束になって生じる。葉は幅の広い線形で、日向の葉は淡い緑色だが、日陰の葉は濃緑になって美しい。葉には3~5本の葉脈が縦に走る。
【キチジョウソウに似ている草花】
同じように下草として庭園に多用される多年草。別名もキチジョウソウで紛らわしい。
キチジョウソウの基本データ
【分 類】キジカクシ科/キチジョウソウ属
【漢 字】吉祥草(きちじょうそう)
【別 名】吉祥蘭(キチジョウラン)
観音草(カンノンソウ)
【学 名】Reineckea carnea
【英 名】Chinese lucky grass
【開花期】9~12月
【花の色】淡い紅紫色
【草 丈】~30cm