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ワスレナグサ/わすれなぐさ/勿忘草
Forget-me-not
【ワスレナグサとは】
・ヨーロッパを原産とするムラサキ科ワスレナグサ属の多年草。いわゆる帰化植物であり、明治時代に観賞用として渡来し、花壇や鉢植えで栽培されていたものが戦後に野生化した。北海道や本州中部などの冷涼地に群生し、木曽の開田高原は名所として知られる。
・ワスレナグサという名前は、よく知られる英語の花言葉「Forget-me-not」を訳したもの。ある青年騎士が恋人のため水辺に咲くワスレナグサを摘もうとして足を滑らせ、急流に流されながら、その言葉を口にして花を投げ渡したという悲劇に物語に由来する。日本では星野道夫、赤川次郎、尾崎豊らの作品のモチーフとして名を馳せる。
・開花は4~7月。咲き始めの花茎はゼンマイのようだが、開花が進むにつれた上へ伸びる「サソリ形花序」で、花は常に頂部で上向き、かつ平らに開く。
・園芸品種には白い花やピンクの花が咲くものもあるが、花にまつわるイメージからか、瑠璃色の花を咲かせる基本種の人気が高く、これを「シンワスレナグサ」と呼んで区別する。花に彩を添える黄色い部分は「副花冠」と呼ばれる。
・葉は細長い楕円形で、茎から互い違いに生じる。下部の葉は柄があるが上部は柄がなく、茎を抱くように生じる。触感は柔らかく、ワスレナグサ属には、「葉がハツカネズミの耳のように柔らかい」という意味合いの学名が与えられている。
・ワスレナグサは茎の付け根から匍匐枝(地下茎)を伸ばして群生する。繊細な雰囲気があるが丈夫な性質を持ち、多少の日陰でも元気に育ち、大きな株になりやすい。ただし、耐暑性が乏しく、暖地では一年草の扱いになる。
・日本で野生化しているのはヨーロッパ起源のワスレナグサで、園芸品種としても最も多く栽培されるが、ワスレナグサ属の草花は北アメリカ、ユーラシア、アフリカ、オセアニアの各地に約50種が分布する。日本にもエゾムラサキ(ミヤマワスレナグサ)という在来種が北海道と本州中部に分布する。
【ワスレナグサに似た花】
ルリソウ ヤマルリソウ エチゴルリソウ
オニルリソウ ホタルカズラ スナビキソウ
キュウリグサ ミズタビラコ
ワスレナグサの基本データ
【分 類】ムラサキ科/ワスレナグサ属
多年草
【漢 字】勿忘草(わすれなぐさ)
【別 名】フォーゲットミーノット
シンワスレナグサ
【学 名】Myosotis sylvatica
【英 名】Forget-me-not
【開花期】4~7月
【花の色】瑠璃色、白、ピンク
【草 丈】~30cm