レンゲ/れんげ/蓮華
Genge/Chinese milk vetch
【レンゲとは】
・中国を原産とするマメ科の越年草。いわゆる帰化植物であり、水田の肥料用として江戸時代に導入されたものが、関東~九州の各地で野生化している。ここでは馴染み深い「レンゲ」の名で扱うが、標準和名はゲンゲである。
・かつて田植え前の水田一面に咲き乱れるレンゲは春の風物詩となっていたが、化学肥料の台頭とともに見掛ける機会が減っており、現在では一部地域の休耕田、水田近くの畔や野原、路傍、土手などに見られる。
・レンゲの開花は4~6月。葉の付け根から生じた長さ10~20センチの花茎に、蝶のような形をした紅紫の小花が7~8個ほど車輪状に並んで咲く。昔の子供たちはこれで花輪を作って遊んでいた。
・レンゲ(蓮華)という名は花の姿をハスに見立てた(あるいは翹揺(ゲンゲ)転訛した)ものだが、ハスが仏を連想させるとして忌み嫌った京において、ゲンゲと言い換えられた。
・レンゲの花は他のマメ科の花と同じような構造で、下部にある舟弁にハナバチが乗ると隠れている雄しべと雌しべが現れ、ハナバチの身体に花粉を付着させる。雄しべと雌しべは合体しているが、舟弁が押し下げられると隙間が開き、雌しべの根元にある蜜を吸うことができるようになる。花にはミツバチが集まり、養蜂家にとっては重要かつ良質な蜜源となる。
・花の後にできる果実(豆果)は細長い三角形でやや直立し、二つに分かれる。9月頃に熟すと黒くなり、中にある黒い種子を蒔けば翌年には芽を出して開花する。
・葉は小さい葉が10枚ほど集まって羽根状になるが、先端に1枚ある「奇数羽状複葉」というタイプ。小葉は長さ8~15ミリの楕円形で先端がへこみ、基部は円形。葉柄の基部には膜のような托葉がある。
・茎は地際で分岐して四方へ伸び、草丈は最大で20センチほどになるが、地を這うように横に広がり、先端だけ斜上することも多い。葉や茎、そして花は、お浸し、酢の物、天婦羅、ジャムなどにして食べることができる。
・レンゲは薬用にもなり、日干ししたレンゲの全草をニワトコの芽と共に蒸し焼きにし、ゴマ油で練ったものを痔や脱肛に塗布するという民間療法がある。全草を煎じて飲めば利尿や解熱に効能があるとされる。
・レンゲが肥料になるのは、根に根粒バクテリアという菌が住み着いており、空気中の窒素を固定して蓄えるためで、レンゲを丸ごと田畑に漉き込んで窒素分の豊かな土壌を作った。たんぱく質も多いため家畜の飼料としても使われた。
【レンゲの品種】
・稀に白い花が咲くシロバナレンゲがある。
【レンゲに似た植物】
レンゲの基本データ
【分 類】マメ科/ゲンゲ属
越年草(二年草)
【漢 字】蓮華/翹揺(げんげ)
【別 名】レンゲソウ(蓮華草)
レンゲバナ
ゲンゲ(紫雲英)
ゲンゲバナ
スモウトリバナ
フゾバナ
【学 名】Astragalus sinicus
【英 名】Genge/Chinese milk vetch
【開花期】4~5月
【花の色】紅紫色
【草 丈】~25cm