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ヤブツルアズキ/やぶつるあずき/藪蔓小豆
Japanese black azuki bean
【ヤブツルアズキとは】
・本州、四国及び九州に分布するマメ科ササゲ属の蔓性一年草。日の当たる湿地を好み、郊外の林縁や土手でクズやヤブガラシなどと共に他の植物に絡まりながら育つ。
・日本人が食用する栽培アズキは蔓性ではないが、本種はアズキの原種とされ(諸説あり)、藪に生え、蔓性であるためヤブツルアズキと呼ばれる。別名はオマンアズキなど。日本の在来種だが、中国、朝鮮半島、インド、ネパールなどにも分布する。
・葉は小葉が3枚一組で生じる。小葉の直径は3~10センチでアズキよりも小さい。卵形で先端が尖るが、枝先付近では浅く三つに裂ける葉が不規則に混ざる。葉や蔓には黄褐色の粗い毛が下向きに生じる。
・ヤブツルアズキの開花は晩夏~初秋で、葉の脇から伸びた花柄に直径2センチ弱の黄色い花が咲く。花はマメ科らしい蝶型だが左右非対称で構造が分かりにくい。「翼弁」と呼ばれる大きな花弁が左右にあり、シベは「竜骨弁」と呼ばれる捩れた花弁に隠れる。
・花の後には細長い線形の豆果(マメ=小豆)ができ、9~11月になると黒褐色に熟す。豆果の長さは5~10センチほど。内部にある種子は直径5ミリほどで一列に並ぶ。
・熟したサヤに触れると小豆が飛び出すが、サヤが捩れることでより遠くへ、四方八方で飛び散る仕組みになっている。種子は色が黒く、普通のアズキよりも小さて皮がやや硬いものの食用できる。縄文時代の古い時期から食用のため栽培されていた可能性があるとされる。
【ヤブツルアズキに似た草花】
・ノアズキ
大豆の原種とされるマメ科の蔓性植物。本種と同じような花を咲かせるが、葉が小さく、豆果はより短くて幅広になる。
・アズキ
本種の改良種あるいはインド原産とされ、縄文時代から栽培されていたことが遺跡によって判明している。現代のように砂糖を混ぜて餡を作るようになったのは江戸時代以降で、それまでは塩を用いた。「アズキ」の「ア」は赤色を、「ズキ」は溶けるを意味し、煮崩れしやすい赤い豆を表す。
ヤブツルアズキの基本データ
【分 類】マメ科/ササゲ属
つる性一年草
【漢 字】藪蔓小豆(やぶつるあずき)
【別 名】オマンアズキ
【学 名】Vigna angularis
var. nipponensis
【英 名】Japanese black azuki bean
【開花期】8~10月
【花の色】黄色
【草 丈】~30cm