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ムラサキハナナ/むらさきはなな/紫花菜
Chinese violet cress
【ムラサキハナナとは】
・中国を原産とするアブラナ科の越年草。日本に渡来したのは江戸時代で、春に咲く紫の花が美しいため観賞用に栽培されていたものが、後に野生化した。標準和名はオオアラセイトウだが、普通はムラサキハナナ、あるいはショカツサイと呼ばれることが多い。
・ムラサキハナナが広く知られるようになったのは、星薬科大学の前身である、星薬学専門学校の初代校長、山口誠太郎氏が日中戦争中の1939年に南京の紫金山から種子を持ち帰り、「紫金草」という名で広めたことによる。本種は排気ガスに強く、現在では北海道~沖縄の公園や堤防、草地、道端、空き地などに群生が見られる。
・ムラサキハナナの開花は3~5月で、茎の頂部に直径2~3センチほどの四弁花を咲かせる。花色は個体や環境によって濃淡があり、紅紫~淡い紫色。雄しべの葯は反り返り、花の基部は筒状。ハナバチ、ハナアブ、チョウなど多数の昆虫が蜜を吸いに訪れる。花の後にできる果実は、長さ10センチもある細い線形で角ばっている。
・葉には株元から生じる根生葉と、茎から生じる茎葉がある。根生葉は裂け目があって羽根状になり、裏面は淡い緑色。茎葉は長楕円形で裂け目がなく、縁に粗いギザギザがあって基部は茎を抱く。茎は地際から直立し、草丈は最大50センチにもなる。葉や茎はほぼ無毛。
・ムラサキハナナという名は、紫の花が咲く菜の花という意味。花や性質がアブラナノハナに似ることによる。別名のショカツサイは、中国の軍人である諸葛孔明が、本種を軍隊の食糧に用いたことによる。
【ムラサキハナナの品種】
・品種とはいえないが、同じ場所で育て続けると、稀に白い花が咲くことがある。
【ムラサキハナナに似た植物】
・ハマダイコン
ムラサキハナナの基本データ
【分 類】アブラナ科
オオアラセイトウ属
越年草
【漢 字】紫花菜(むらさきはなな)
【別 名】ショカツサイ(諸葛菜)
オオアラセイトウ
(大紫羅欄花)
ハナダイコン(花大根)
シキンサイ(紫金菜)
【学 名】Orychophragmus violaceus
【英 名】Chinese violet cress
【開花期】3~5月
【花の色】紫色
【草 丈】~50cm