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マコモ/まこも/真菰
Manchurian wild rice
【マコモとは】
・北海道~沖縄に分布するイネ科の大型多年草。泥の中で根を横に張って育つ「抽水植物」の一種であり、川岸や河口、沼地などの浅い水辺に群生する。イネやススキに似るがより大きく育つ。
・マコモは中国や東南アジアにも育つが、日本に見られるのは在来種。原始時代にはこの葉や茎を編んで「菰(コモ)=敷物」を作っていたが、イネが渡来して、ワラでもコモを作るようになったため、元祖である本種を本当の菰として区別するため「真菰(まこも)」と呼ぶようになった。
・マコモの葉は幅2~3センチ、長さ50~100センチの広い線形。基部は茎を抱く「葉鞘」となり、葉と葉鞘の境にある関節の内部には、大きく発達した「葉舌」と呼ばれる白い三角状のものがある。盆にナスとキュウリで祖先の乗物を作る風習があるが、地方によってはマコモの茎葉でこれを作る。
・開花は晩夏~初秋で、頂部に長さ50センチほどの花茎を伸ばし、雌雄それぞれの花を円錐形に密生させる。雄花は赤紫色で6本の雄しべがあり 花序の下方にできる。雌花は淡い緑色で、細長い糸状の芒(のぎ)が直立し、花序(花の集り)の上方に咲く。雌花の後にできる果実は直径1センチほどで細長く、紫色を帯びる。
・近年、スローフードとして着目されるワイルドライスは、本種の近縁であるアメリカマコモの実であり、アメリカンインディアンが数千年来、食用してきたもの。日本のマコモも地域によっては、臼で挽いて餅や粥にして食す習慣があり、縄文時代の遺跡からも出土している。
・茎は太くて中空。草丈は2mを超える。中華料理の食材となるマコモダケは、本種の若い茎が、黒穂菌の寄生によって肥大化したもの。タケノコのように柔らかで、煮物、炒め物、和え物などにして食べることができるが、日本の自生種では茎が肥大化しにくく、マコモダケは中国等からの輸入品が多い。また、マコモダケ(菰筍)をそのまま育てることで得られる黒い胞子は、「マコモ黒」と呼ばれ、染料に使われる。
・秋に採取したマコモの根を日干し、煎じたものが生薬の「菰根(ここん)」。民間療法で利尿に用いられる。
【マコモに似た植物】
・セイバンモロコシ
マコモよりも浅瀬に育つ。両者はよく似るが、マコモは秋になると葉が明るいクリーム色になるため見分けやすい。
・ススキ
・ミクリ
マコモの基本データ
【分 類】イネ科/マコモ属
多年草
【漢 字】真菰(まこも)
【別 名】コモ/マヨギ/ハナガツミ
カズキ/カツギ/カツミ
【学 名】Zizania latifolia
【英 名】Manchurian wild rice
【開花期】8~10月
【花の色】淡い緑色/赤紫色
【草 丈】~250cm