庭木図鑑 植木ペディア > ネジバナ
ネジバナ/ねじばな/捩花
Lady's tresse
【ネジバナとは】
・北海道から沖縄まで日本各地に自生するラン科の多年草。花期になると多数の小花が螺旋状に並び、花穂が捻じれたように見えるためネジバナと呼ばれる。
・日当たりのよい芝地に特に多く、田畑の畔、堤防、道路の分離帯など町中でも普通に見られるが、観賞目的で鉢植えにすることもある。夏になるとピンク色の花が咲き、草花に興味が乏しくてもその姿は記憶しやすい。日本に育つのは在来種だが、アジア~オーストラリアまでの広い地域に分布する。
・開花は5~8月(地域によってはさらに9~10月)。葉の間から白い短毛のある花茎が立ち上がり、その上部に直径4~5ミリの小花が横向きに咲く。一見するとランの仲間には見えないが、鐘型で横向きに咲く花には3つの「内花被」と3つの「外花被」があり、唇弁の先には細かな歯牙がある。
・ネジバナの学名はSpiranthesで、螺旋(Spira)+花(anthos)からなる。花は下から順に咲き上がり、同程度の割合で右巻きと左巻きに捩れるが、全く捩れないものもある。花には甘い微香があり、セイヨウミツバチが訪れる。
・花の後にできる果実は長さ6ミリほどの楕円形で上向きにつき、中には数十万粒もの種子が入っている。果実は熟すと自然に裂け、風によって種子が拡散されが、単独で発芽するだけの養分を持っておらず、ラン菌を寄生させて育ち、最終的にはお世話になったラン菌を分解して養分にするという。
・ネジバナの葉には夏葉と冬葉がある。夏葉は長さ5~20センチ、幅3~10ミリの細長い線形で、株元からわずか2~3枚が生じて斜上する。葉の中央にある葉脈はへこみ、付け根は短いサヤ状になる。一方の冬葉は丸く、地を這うように広がる。
・地下にある根は小さいものの多肉質で、やや太いヒゲ根がわずかにある。
・別名の文字摺草やモジズリ(捩摺)の由来には、花穂の様子が、かつて陸奥国信夫郡(現福島市)で作られていた型染の一種、「しのぶもちずり絹」の模様に似ていること、あるいはネジバナそのもので絹を染色したことによるといった説がある。
【ネジバナの品種】
・ヤクシマネジバナ
屋久島に自生する品種だが、最大でも12センチほどにとどまる。小さな草丈が好まれ、園芸用に栽培される。
・シロネジバナ(シロモジズリ)、アオネジバナ(アオモジズリ)
それぞれ白及び深緑の花が咲く野生種。普通のネジバナと同じ場所で、ごく稀に観察される。シロよりもアオの方が数少ない。
【ネジバナに似ている草木】
・ツルボ
・ネジキ
ネジバナの基本データ
【分 類】ラン科/ネジバナ属
多年草
【漢 字】捩花(ねじばな/ねぢばな)
【別 名】ネジレバナ/ネジリバナ
モヂバナ/モジズリ/モヂズリ
文字摺草/綬草/シンコバナ
ヒダリマキ
【学 名】Spiranthes sinensis
var.amoena
【英 名】Lady's tresse
【開花期】5~8月
【花の色】紫色 桃紫、白、緑
【草 丈】~40cm