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ナンテンハギ/なんてんはぎ/南天萩
Two-leaf vetch
【ナンテンハギとは】
・北海道、本州、四国及び九州に分布するマメ科の多年草。雑木林の縁や山野の草地、川の土手などで普通に見掛ける野草の一つであり東京近郊の高尾山にも見られる。若葉や花には独特のコクと旨味に加えて栄養があるため、山菜料理や土産として販売するため商業的に栽培されることがある。
・葉がナンテンに、花がハギに似ることからナンテンハギ(南天萩)と名付けられた。山菜として古くから親しまれるためアズキナ、フタバハギ、アズキッパ、キジナグサなど別名及び地方名も多い。アズキナ、アズキッパは、この葉を茹でると小豆に似た匂いがすることによるという。
・開花は6~10月で、蝶型をした赤紫の小花がまばらに咲く。花は整然と並ばず、花茎の側に傾いて咲き、花びらのような萼片は先端が五つに裂ける。幾重にも枝分かれした枝の様子はハギを連想させるが、ハギのような華やかさはなくあまり目立たない。花の後できる小さなマメのような果実には表面にほとんど毛がない。
・葉は2枚の小さな葉を一組として生じ、3枚一組になるハギとは決定的に異なる。また、マメ科の植物によく見られる巻きヒゲがないことも本種の特徴の一つ。
・中国では歪頭菜と呼び、漢方では根を含めた全草を乾燥させて煎じたものが、めまいや疲労を緩和する薬として使われる。食用としては飛騨高山の伝統が有名であり、湯通しした花は三杯酢で、若い茎葉は天婦羅、御浸し、炒め物、和え物などにして食べる。
【ナンテンハギに似ている草花】
・ミヤマタニワタシ
関東から中部地方に分布する近縁種で、ナンテンハギによく似た花を咲かせる。両者の違いは花の色と葉の様子で、ミヤマタニワタシの花色はより明るく、ピンクに近く、葉は先端が尖り、縁は波打つようになる。このほかナンテンハギに似る草花には、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサなどがある。
ナンテンハギの基本データ
【分 類】マメ科/ソラマメ属
多年草
【漢 字】南天萩(なんてんはぎ)
【別 名】アズキナ/フタバハギ
アズキッパ/キジナグサ
【学 名】Vicia unijuga
【英 名】Two-leaf vetch
【開花期】6~10月
【花の色】赤紫色
【草 丈】~90cm