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セリ/せり/芹
Water dropwort
【セリとは】
・北海道から沖縄まで日本全国に分布するセリ科セリ属の多年草。根元が水に浸るような場所を好み、日当たりのよい田畑の畔や溝、小川の岸辺などの湿地に群生する。
・春の七草の代表種だが、平安時代の法典である「延喜式」や「万葉集」「日本書紀」「源氏物語」にも登場するほど古くから栽培される。数少ない日本原産の野菜であり、若芽、茎、蕾、根を、七草がゆ、お浸し、和え物、天婦羅、塩漬け、鍋物などにして特有の苦みと風味を楽しむ。
・別名はセリッパ、白根草、根白草、根芹など。また、生える場所によって田芹、畑芹、水芹、沢芹、沼芹などと呼び分け、微妙な味の差を楽しんだ。七草がゆの頃の自生品は特に香りとクセが強く、山菜好きに好まれる。栽培品は自生品を軟化させたもので、草丈が高く、茎が緑色になる。
・「セリ」という名は、春になると新芽が「競り」合うように伸びることに由来する。地下茎が泥を這って横へ広がるため農家に嫌われ、水田に生えるのを摘まむように取り除かれたことから、「ツマミグサ」という別名もある。
・開花は夏で、小さな白い花が多数集まって咲く。花には5個の花弁があり、その先端はくぼんでいる。雄しべと雌しべがあるが、雄しべが先に熟した後、柱頭(雌しべ)が目立つようになる。花の後にできる果実は楕円形。
・葉は菱形あるいは卵形の小葉が複数集まって羽根状になる。小葉の先端は尖り、縁には粗いギザギザがある。葉は大小様々で、三つに切れ込むもの、五つに切れ込むものがある。秋に出た新芽は茶褐色を帯び、そのまま越冬する。
・白くて太い地下茎は四方に伸びて節から根を出し、茎は地面を這うように広がって分岐する。茎葉に毛はなく緑色だが寒さが厳しくなると紫色を帯びる。
・特有の香りがある葉を噛んで口臭予防に、全草を擂り潰して煮沸したものを飲用すれば解熱効果があるという。キアゲハ(蝶)の幼虫は本種やニンジン、ミツバ、シシウドなどの葉を好んで食べる。
【セリの品種】
・斑入りセリ
葉に白い模様が入る品種。園芸用に出回っている。
【セリに似ている草花】
・ミツバ
かつてはセリの一種とされ、ミツバゼリと呼ばれたことも。
・シャク(ヤマニンジン)
・ドクゼリ
・トウキ
【春の七草】
セリ ナズナ ゴギョウ(ハハコグサ)
ハコベラ(ハコベ) ホトケノザ
スズナ(カブ) スズシロ(ダイコン)
セリの基本データ
【分 類】セリ科/セリ属
多年草
【漢 字】芹/世利/世里(せり)
【別 名】セリッパ/サケバゼリ
白根草/根白草/根芹
田芹/畑芹/水芹
沢芹/沼芹
ツマミグサ
【学 名】Oenanthe javanica
【英 名】Water dropwort
Japanese parsley
Chinese celery
【開花期】7~8月
【花の色】白
【草 丈】~60cm