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セキショウ/せきしょう/石菖
Japanese sweet flag
【セキショウとは】
・本州~九州の各地に分布するショウブ科の常緑性多年草。渓流や水路沿いなどの湿地を好んで群生するが、一年を通じて葉が青々としており、日向でも日陰でも丈夫に育つため、和風庭園や盆景においても水辺の雰囲気を作る下草として多用される。
・葉は根茎の端から2枚単位で生じ、扁平した剣状になる。先端が尖り、やや硬質だが葉先は外側に向かって垂れ下がる。表面は濃緑色で雰囲気はショウブやジャノヒゲに似るが、幅は5~7ミリでより狭く、葉脈ははっきりしない。常緑性ではあるが霜の降りる地域では冬季に茶変する。
・開花は4~5月で、葉の間から葉と同程度の高さまで花茎が伸びて、黄緑色の小花が細長い尾状に集まって咲く。花は両性花で花弁のような花被片が6枚、雄しべ6本があるが、小さすぎてよく見えない。
・地下にある根茎は扁平した円柱状で節とヒゲ根が多く、分岐しながら横に広がる。根茎には芳香成分のアザロンやセスキテルペンを含み、この香りを使ったセキショウ酒を造ることができる。漢方では乾燥させた根を煎じたものを鎮痛や健胃に用いる。
・セキショウは中国やヒマラヤ地方にも自生し、漢名は「菖蒲」と表記される。「菖蒲」の日本語読みはショウブだが、ショウブの漢名は「白蒲」。「セキショウ」の語源は別名の「石菖蒲」にあるがその由来には、葉が菖蒲に似て、岩の上に着床して育つことによるという説、葉の硬さを石に例えたという説がある。
・セキショウの別名はアコラスで、学名のAcorus gramineusに由来するが、その意味は「飾りのない、美しくない花」。花の後には乾いた果実ができ、長い毛のある種子を数粒抱く。
【セキショウの品種】
・園芸品種には斑入りセキショウ、大きくならない矮性のアリスガワセキショウやビロウドゼキショウ、高麗ゼキショウなどがある。また、斑入りセキショウは模様の入り方によってさらに細分され、ダテニシキ、チュウヤなど多数のバリエーションがある。
セキショウの基本データ
【分 類】ショウブ科/ショウブ属
多年草
【漢 字】石菖(せきしょう)
【別 名】イシアヤメ/メハジキ
メツッパリ/カワショウブ
【学 名】Acorus gramineus
【英 名】Japanese sweet flag
【開花期】3~5月
【花の色】黄緑色
【草 丈】~50cm