庭木図鑑 植木ペディア > 山野草 > セイタカアワダチソウ
セイタカアワダチソウ
Golden rod
【セイタカアワダチソウとは】
・北アメリカ大陸中北部を原産とするキク科の大型多年草。明治時代(明治30年頃)に観賞用として導入され、蜂蜜を採取する蜜源植物として栽培されるなどしたものが野生化し、日本各地の荒れ地、空き地、埋立地、河川敷などに群生する。別名はセイタカアキノキリンソウなど。
・セイタカアワダチソウが爆発的に広がったのは戦後のことで、アメリカからの物資に付着して種子等が持ち込まれたことによる。出発地は北九州で、石炭業が斜陽となった時代に普及し始めたことから、冬至の九州では「ヘイザンソウ(閉山草)」と呼んでいた。また、別名のベトナム草は、本種がベトナム戦争の頃に増えたことによる。
・植物の生育を阻害する性質(アレロパシー)を持つことや、花粉症の原因となるブタクサに誤認されたことから駆除の対象となってきたが、同じ場所で育ち続けられないことや、天敵(グンバイ、アブラムシ)の出現とともに拡大の勢いは弱まりつつある。
・セイタカアワダチソウという名前は、日本に自生するアワダチソウ(アキノキリンソウ)の近縁で似たような花が咲き、草丈が高いことによる。アワダチは「泡立ち」で、多数集まった花の様子が、酒造りの際に生じる泡のように見えることから。
・開花は他のキクの仲間と同じ秋(10~11月)で、茎の先に伸びた長さ10~30センチの円錐状の花穂が密に分岐し、黄色い小花を多数咲かせる。花には雌花と両性花があり、前者は舌状花、後者は筒状花になる。
・花粉は画像のように虫によって運ばれるため、セイタカアワダチソウは花粉症の原因にならないとされる。花の後にできる果実は「冠毛」と呼ばれる毛があり、風によって多少飛ばされる。
・日本では「侵略的外来種」にリストアップされており、負のイメージが強いセイタカアワダチソウだが、原産地では最も遅く開花する貴重な蜜源植物であり、アメリカのサウスカロライナ州では州の花に指定している。
・葉は長さ3~13センチ、幅1~2センチほどで先端が尖り、縁には浅く不明瞭なギザギザがある。表面はザラつき、裏面は軟毛があって灰色を帯び、両面とも太い葉脈が目立つ。
・若芽であれば天婦羅にして食べることができるとされるが、アクが強く、日本ではこれを食べる習慣はほぼない。ただし、栄養価が高く、最近では耕作放棄地に牛を放牧してセイタカアワダチソウを食べさせるという試みもある。
・茎は成長に伴って緑色から茶色に変わり、細毛のある上部は灰色になる。開花期の草丈は2~3mに達し、自然界では鳥の隠れ家になる。茎は太くて丈夫なため、ハギの代用として簾に使うことができる。
・地下にある長い根茎は秋の終わりに伸び、その先端に生じた新たな芽が地表に葉を広げた状態で越冬する。根茎にはヨモギと同じように他の植物の成長を抑制する物質がある(=アレロパシー効果)。
・セイタカアワダチソウは際限なく繁茂するように見えるが、アレロパシー効果は自分自身にも及び、土質が変わると新たな土地を求めて移動することになる。ススキと一緒に生えていることが多いが、長期的には背丈のより大きいススキが優勢になるという。
【セイタカアワダチソウの品種】
・オオアワダチソウ
花期が夏で、花はより大きい。また、茎葉に毛がなく、手で触れるとスベスベする。日本に来たのはセイタカアワダチソウよりも早く、明治時代初期とされるが、繁殖力はセイタカアワダチソウより低く、また、名前のわりに草丈も小さい(セイタカの半分)ため、見掛ける機会はより少ない。
セイタカアワダチソウの基本データ
【分 類】キク科/アキノキリンソウ属
多年草
【漢 字】背高泡立草(せいたかあわだちそう)
【別 名】セイタカアキノキリンソウ
閉山草/ベトナム草
【学 名】Solidago canadensis var. scabra
Solidago altissima
【英 名】Golden rod
Canadian Golden rod
Late Golden rod
【開花期】10~11月
【花の色】黄色
【草 丈】~300cm