庭木図鑑 植木ペディア > 山野草 > シラネアオイ
シラネアオイ/しらねあおい/白根葵
Shirane-aoi
【シラネアオイとは】
・北海道及び中部地方以北の本州に分布するキンポウゲ科(あるいはシラネアオイ科)の多年草。日本海側の深山に多いが、日光の白根山にも多数見られ、花がタチアオイに似るためシラネアオイと名付けられた。平地で夏に咲くフヨウにも葉の形や花の色合いが似るため、別名にはヤマフヨウやハルフヨウがある。
・シラネアオイの開花は5~7月だが、雪深い深山に咲くためカタクリなどと共に遅い春の訪れを告げる。花は直径7~10センチほどで茎の頂部に一輪だけ咲き、自生種とは思えないほど大きくて美しい。花弁のように見えるのは萼片で4枚が十字に向かい合い、本来の花弁はない。萼片は膜質でもろく、強い日差しや乾燥に弱い。
・花の中央には黄色い多数の雄しべと2本の雌しべがある。雄しべは長さ7~9ミリほどで、雌しべはより短い。2本の雌しべは基部で合着しているため、受粉すると二つの果実が背中合わせに連なってできる。
・果実は四角い袋状で、中には長さ1~1.5センチほどの種子を含む。果実は熟すと縦に裂けるが、種子には翼があるためより遠くへ飛んでいく。シラネアオイは種子によって繁殖するが、地下を這う根茎が横に広がりながら新たな株を作るため、群生することが多い。
・学名にあるpalmatumは「掌状」の意味で、葉は7~11裂する。直径8~20センチほどと大きくて花の頃にはよく目立つが、他の植物が生い茂る頃には埋もれて目立たなくなる。
・葉の表面は鮮やかな緑色で窪んだ葉脈が目立ち、裏面は淡い緑色。裂片の先端は鋭く尖り、葉の縁には細かなギザギザがある。葉柄は10~15センチと長め。茎先で互い違いに2枚生じるが、さらにその上部には柄のない円形の苞葉がある。
・茎は緑色で柔らかく、根茎から直立する。また、株元には「鱗片葉」と呼ばれる小さなサヤ状のものがある。
【シラネアオイに似た植物】
・フヨウ
・ボタン
シラネアオイの基本データ
【分 類】キンポウゲ科(シラネアオイ科)
シラネアオイ属
多年草
【漢 字】白根葵(しらねあおい)
【別 名】ヤマフヨウ(山芙蓉)
ハルフヨウ(春芙蓉)
ヤマボタン(山牡丹)
【学 名】Glaucidium palmatum
Siebold et Zucc.
【英 名】─
【開花期】5~7月
【花の色】淡い紫色
【草 丈】~60cm