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ショウブ/しょうぶ/菖蒲

Acorus

しょうぶ,あやめ,違い
「ハナショウブ」ではなく「ショウブ」 花はかなり地味
ショウブの葉
新葉の様子
ショウブの葉っぱ
葉は互いに抱き合うように生じる
菖蒲,植物,群生
根茎は多数に分岐しながら横へ広がるため群生しやすい 
ショウブの花
開花期の様子 花茎の断面は扁平した三角形になる 
ショウブとアヤメの違い
ショウブの花 黄色く見えるのは葯 
ショウブ,植物,葉っぱ
ショウブの葉は中央の脈が隆起する 生け花では葉を小さくたたんでいけることも

 

【ショウブとは】

・北海道~九州に分布するショウブ科ショウブ属の多年草。池や沼などの水辺に自生する「抽水植物」だが、葉を端午の節句の飾りや菖蒲湯に使うことで知られる。かつて本種はアヤメと呼ばれていたが、今日のアヤメや同時期に華麗な花を咲かせるハナショウブは全くの別物。

 

・ショウブはアジア北部に広く分布し、漢名は「白菖蒲」あるいは「白菖」。日本での漢字表記は「菖蒲」で、これを音読みしてショウブと呼ばれるようになった。なお、中国での「菖蒲」は同科同属のセキショウのこと。

 

・葉は明るい緑色で根茎から直立する。葉先は尖り、縦に走る葉脈が隆起するためセキショウと見分けられる。株全体に芳香のある精油を含み、葉をちぎると特に香気がある。菖蒲湯の目的はこの精油の作用によって血行を促し、体調を整えることにあるが、今日ではハナショウブで代用することが多い。

 

・ショウブを端午の節句に使う風習は古代中国に由来する。同国では刻んだ葉を浸した菖蒲酒を飲むという節句の風習が、日本では菖蒲湯や軒菖蒲(のきしょうぶ)に転じた。別名「ノキアヤメ」は軒菖蒲に由来するが、これは邪気を払うためショウブやヨモギを軒端に刺す風習で、枕草子にもその風景が描写されている。

 

・本種が端午の節句に使われたのは、衛生状態の低下する梅雨時(旧暦の5月頃)に、薬草を使って身体の耐性を高めるのが狙いであったが、ショウブという名が「尚武(武事を尊ぶこと)」や「勝負」に通ずるとし、また、尖った葉が剣の形に似るとして、武家の間で今日のように男子の成長を祈念する形になった。

 

・ショウブの開花は4~7月。一見すると葉の途中に花が咲いているように見えるが、花が咲くのは花茎の途中であり、花より上は苞葉と呼ばれる。花茎は長さ20~50センチで、斜上する花軸に長さ5センチほどの肉穂ができ、黄緑色の小花が多数集まって下から順に咲く。花が終わるとトウモロコシのような果実ができるものの、結果率は低い。 

 

・地下を這う根茎は太い円柱状で筋があり、その下部からヒゲ根を生じる。かつてはショウブの根茎を健胃のため薬用する民間療法があったが、これには毒性があり場合によっては嘔吐などの症状を引き起こすため内服はできない。生薬名は「菖蒲根(しょうぶこん)」で漢方では「万根を癒す」とされるが、これは菖蒲湯など外用に限ったもの。 

 

【ショウブに似た植物】

セキショウ

 同じくショウブ科に属する多年草。和風庭園においては水辺の景を演出する際に使われることが多い。ショウブよりも小形で葉数が多いが、大きめのセキショウと小さめのショウブは見分けづらい。ショウブは葉脈(主脈)が隆起するがセキショウは平滑であること、ショウブの花穂は葉に埋もれるが、セキショウの花穂は葉と同じかそれ以上の高さになることが見分けのポイントになる。

 

アヤメ

 

カキツバタ

 

ハナショウブ

ショウブの基本データ

 

【分 類】ショウブ科/ショウブ属

     多年草

【漢 字】菖蒲(しょうぶ)

【別 名】ノキアヤメ/アヤメグサ 

【学 名】Acorus calamus

【英 名】Calmus/Sweet sedge  

     Sweet flag root

     Acorus root

【開花期】4~7月

【花の色】淡い黄緑色

【草 丈】~60cm

 

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