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シャクヤク/しゃくやく/芍薬
Chinese peony
【シャクヤクとは】
・中国北東部や朝鮮半島を原産とするボタン科の多年草。花を観賞するため各地の庭園や花壇に植栽され、切花用にも栽培されるが、古来から薬草として知られる。
・シャクヤクという名は漢名「芍薬」の音読みで、「芍」は癲癇のように痙攣を伴う病気を意味し、本種の根を薬用することにちなむ。英名にあるpeonyはギリシャ神話に登場する医者Paeonに由来し、こちらも本種が薬草であることを意味する。
・「立てばシャクヤク、座ればボタン」と並び称されるよう、ボタンによく似るが、ボタンは冬季も枯れた茎葉が地上部に残る「木」であり、地上部が消え去るシャクヤクは「草」に分類される。
・中国では「花の王様」とされるボタンに次いで美しいとされ、シャクヤクは「花の宰相」と呼ばれる。基本的にはボタンよりも丈夫な性質を持つため、園芸用のボタンはシャクヤクの根茎に継いだ接ぎ木であることが多い。
・シャクヤクが日本に渡来したのは平安時代。当初は薬草として扱われ、異国から来た薬草を意味する「エビスグサ」と呼ばれていた。時代が下ると美しい花も注目されるようになり、江戸時代に著された「花壇綱目」には既に32種ものシャクヤクが記されている。
・現在では数百の品種があるとされるが、「洋芍薬」と「和芍薬」に大別される。前者は中国からヨーロッパ等に渡って品種改良された派手なもので、花屋の店頭や結婚式で見掛けるシャクヤクの多くは洋芍薬。一方、日本で品種改良された後者には、より控えめな花が咲き、日本庭園や茶庭で好まれる。
・シャクヤクの開花は4~6月で、直径9~15センチほどの花が茎の先端に一輪ずつ上向きに咲く。花弁は10枚前後で、花色は白やピンク系統が多いが、花弁の数や花の大きさ、色合い等は品種によって多彩。花の後には袋状の果実ができ、熟すと自然に裂けて球形の種子が落ちる。
・葉は楕円形の小葉が複数集まって羽根状になるが、上へいくほど小葉の数は減り、頂部付近では単葉となって枝から互い違いに生じる。葉は表面に艶があり、縁には細かなギザギザが入る。茎は無毛で一株から数本が直立し、高さ60~80センチほどに育つ。
・シャクヤクの根は細長い紡錘形で多数生じ、よく肥える。根には安息香酸、タンニン、ショ糖、苦味配糖体などを含み、乾燥させたシャクヤクの根を煎じて飲めば、めまい、てんかん、腹痛、筋肉の痙攣等が鎮まるとされ、その効果はモルヒネにも匹敵するという。
【シャクヤクに似た植物】
日本の山地に自生する近縁種。
シャクヤクの基本データ
【分 類】ボタン科/ボタン属
多年草
【漢 字】芍薬(しゃくやく)
【別 名】エビスグサ(夷草)
カオヨグサ(貌佳草)
花の宰相
【学 名】Paeonia lactiflora
【英 名】Chinese peony
【開花期】4~6月
【花の色】白/紫/ピンクなど
【草 丈】~100cm