ワシントンヤシ/わしんとんやし
Washington Palm
【ワシントンヤシとは】
・カリフォルニア州南部、アリゾナ州東南部及びメキシコ北部を原産とするヤシ科の常緑高木。アメリカの初代大統領であるジョージワシントンを記念して命名され、アメリカ南部や南米の諸都市で街路樹として多数植栽される。
・九州や四国を中心として日本で露地植えされている「ワシントンヤシ」の多くは、メキシコ東北部を原産とするワシントンヤシモドキ(ワシントニアロブスタ/オキナヤシモドキ)あるいは両者の交配種であるワシントニアフィリバスタ及びそれらの雑種であるが、一般的には区別せずに扱われている。
・葉は全体として直径1~1.5mの円形で、手のひら状に裂けているように見えるが、70~80枚の小葉が合着したもの。葉先1/3まで裂け、先端は下向きになる。
・小葉の表面は緑色でシュロやビロウに似るが、やや黄色を帯び、裂け目から灰白色の繊維が垂れ下がる点が大きく異なる。別名のオキナヤシはこの繊維を老人の髭に見立てたもので、九州ではイトヤシと呼ぶこともある。
・葉と幹を結ぶ葉柄は枯れても落下せず、幹を覆うように残るが、街路や公園等では葉の落下による危険を排するため短く刈り込まれる。葉柄の断面は扁平した半円形で基部が太く、縁にはトゲがある。
・雌雄同株で、6月頃になると長さ3~4mもの花序を垂れ下げて、白い小花を多数咲かせる。また、花の後には直径7ミリほどの楕円形の果実ができ、黒く熟す。種子の発芽率は高く、容易に増やすことができる。
・幹は一本立ち(単幹)で真っすぐに伸びるが、ワシントンモドキは風等の影響でやや斜めになることが多い。ワシントンヤシは原産地で樹高10~20mに育つが、日本では8~10mほどにとどまる。直径は最大0.5~1mほどでワシントンヤシモドキよりもワシントンヤシの方が太くなることが多い。
・熱帯のイメージが強く観葉植物として温室内で栽培されることが多いヤシだが、その種類は3000以上に及び、日本にはそのうちの30種ほどが房総半島以西の暖地に自生し、露地される。
【ワシントンヤシの育て方のポイント】
・多くのヤシ類とは異なり、高温多湿な熱帯よりも、温帯や亜熱帯に育つ。耐寒性もあり、マイナス5~6℃まで耐える。
・乾燥、潮風、大気汚染に強い。ヒメミノガによる葉の食害が稀にあるものの基本的に病害虫の発生は少ない。
・古い葉を放置すると強風等で落下する危険性がある。人や車が通行する場所に植栽する場合、古い葉を定期的に除去する必要がある。
【ワシントンヤシの品種】
・マルジクオキナヤシ(ワシントニアグラシリス)、ダルマオキナヤシ(ワシントニアソノル)などの矮性品種がある。
【ワシントンヤシとワシントンヤシモドキの違い】
・葉の裂け目から垂れ下がる繊維
ワシントンヤシモドキよりもワシントンヤシの方が多い。
・葉柄と葉の接点
ワシントンヤシは細長く尖るが、ワシントンヤシモドキでは丸みのある三角状になる。
ワシントンヤシの基本データ
【分類】ヤシ科ワシントンヤシ属
【学名】Washingtonia filifera
【別名】オキナヤシ/シラガヤシ
ワシントニア・フィリフェラ
【成長】早い
【移植】困難
【用途】公園/緑地/街路樹
【値段】─