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ソテツ/そてつ/蘇鉄

Japanese sago palm

ソテツ,アジアンリゾート,エスニック,ガーデン
近年はガーデニングでの人気が高まっている
ソテツ,育て方
古い葉を全て剪定すれば、芽出しはこんな感じになる
蘇鉄の木,じゅみょう
育て方は簡単で成長が遅く、寿命は長い
Japanese sago palm 
ただし葉は硬く、チクチクする 
ソテツの葉っぱ
裏面の様子
おばな,オバナ
ソテツの雄花 
蘇鉄,植物
雄花は長さ40~70センチ、太さ10~15センチほど 
葯
表面には無数の雄しべが並んでいる
ソテツの雄花
役目を終えた雄花
雄花,雄しべ
古くなって乾燥した雄花の様子
そてつ,めばな
ソテツの雌花
ソテツの雌花
雌花は葉のような「大胞子葉」が折り重なって毬状になる
蘇鉄,食べる
ソテツの実
そてつ,雌花
大胞子嚢はシダの葉のような形で毛が密生する
蘇鉄の世,蘇鉄じごく
ソテツの実は食用になるが毒性があり、飢饉下の葛藤を表す「蘇鉄地獄」という言葉がある 
そてつの木
意外?に神社仏閣に多い(宮崎神宮)
Japanese sago palm
暖地では冬季もこんな感じだが
Japanese sago palm
霜が降りる地域では葉の色が変わる
防寒の仕方
そのためワラで巻いて越冬する
そてつ,植物,新芽
翌春にワラを外すとこんな感じに

 

【ソテツとは】

・九州地方南部から西南諸島を経て、中国東南部に分布する常緑低木。南国の雰囲気を演出する植物として桃山あるいは室町時代以降に本州へ伝わり、江戸時代には大名の間で庭園に植えるのが流行した。

 

・現代でも西日本を中心とした各地の庭園、公園、寺社、大きな屋敷、役場のロータリー等では過去に植栽されたソテツが見られる。丈夫な性質を持ち、剪定の手間がかからないこと、あるいは温暖化の進行からか、ソテツの人気は再燃しつつある。

 

・自生は限られた地域の岸壁、岩場、原野などで、その北限にあたる宮崎県串間市の都井岬と鹿児島湾岸の一部は、1921年に国の特別天然記念物に指定されている。

 

・ソテツという名は漢名「蘇鉄」の音読みで、この木が弱った時、幹に鉄クギを刺したり、根元に鉄屑を埋めると蘇生するという俗説にちなむ。ただし、実際のところ鉄分は肥料として効果がなく、名の由来は不詳。「蘇鉄」以外にも「鉄樹」「鉄蕉」という漢字表記がある。

 

・葉は太い円柱状の幹の頂上で20~30枚が束になって生じ、四方に広がる。葉の表面は濃緑色で光沢があり、裏面は軟毛を生じて淡い褐色になる。長さ0.5~1.5mの大きな羽根状で、150枚以上ある線形の小葉が互い違いに生じる。

 

・小葉は長さは5~15センチ前後。ソテツの学名にあるrevolutaは「反巻き」を意味し、小葉の縁は裏側へ反り返る。ソテツの葉は切り花の脇役として重用され、花屋の店先では籠花や小品花に使い、ソテツの枯葉を染色して装飾に使う例もある。

 

・幹は単独で直立することが多いものの、複数が根元から群がって生えることもある。また、樹齢を重ねると稀に枝分かれし、重みで匍匐するように伸びることもある。樹皮は暗い褐色でヤシに似るが、古い葉柄の跡が鎧のように残リ、材は硬い。

 

・樹高は普通1~4mほどで低木として扱われるが、樹齢を重ねたものは7m以上になることもある。自生地では環境が厳しいため大木となりにくいが、寺院等で保護されたソテツの中には、幹の直径が1mを超えるものもある。幹の根元には時折、肉芽状の幼い個体ができる。

 

・ソテツは雌雄異株で、4~8月に雌雄それぞれの花が幹の頂部に咲く。雄花は長さ40~60センチのヤングコーンを巨大化したような形。表面には鱗片のような雄しべが螺旋状に並び、その側部にある葯から花粉を飛ばす。

 

・雌花は直径10~40センチほどの毬状だが、これは長さ20センチほどの「大胞子葉(葉が針のように変化したもの)」からなり、大胞子葉の柄には葉芽のような胚珠が2~6個ずつある。

 

・ソテツは雌雄の株が近くにあれば結実しやすく、雌花の胚珠は11~2月頃に熟すと、光沢のある明るい朱色の種子となって翌春まで幹先に残る。種子は直径2~4センチの扁平球~ハート形で、でき始めは黄褐色の縮れ毛が密生。内部には白色の仁があり、一つの雌株には100個を超える種子ができる。

 

・ソテツはイチョウと共に最も原初的な種子植物とされ、生きた化石と呼ばれることもある。種子植物とシダ植物の関係を実証する重要な植物で、雄花の花粉は雌花に入った後に精子を生じて受粉することを、1896年(明治29年)に東京大学農科大学の助教授であった池野成一郎氏が発見した。

 

・ソテツは寿命が長く、龍華寺(静岡県清水市)、能満寺(静岡県榛原郡)、妙国寺(大阪府堺市)、福性寺(島根県出雲市)などに植栽されたものは樹齢1,000年を超え、天然記念物に指定される。 

 

 ・ソテツの英名はJapanese Sago Palmで、サゴヤシと同様、幹の髄や皮、果実に多量のデンプンを含む。食糧難の時代、原産地ではこれを食用し、漢方では通経や下痢止めに用いたが、発がん性物質であるサイカシンを含むことが判明しており、誤食すると体内で分解されてホルムアルデヒドを生じ、嘔吐、めまい、呼吸困難を引き起こす。

 

・現代では十分に解毒、発酵させたソテツ味噌(ナリ味噌)が販売されているが、過去には不十分な水さらしによる死亡事故が多発しているため、素人が安易に自作するのは危険である。

 

・ソテツの仲間はジュラ紀に隆盛を極め、現代でも熱帯アジア、アフリカ東部、オーストラリア北部など広い範囲に約40種が分布するものの、日本に自生するのは本種のみである。

 

【ソテツの育て方のポイント】 

・庭木としては特異な形状であり、他の樹木とは馴染みにくい。本種のみを大小組み合わせて列植するのが一般的。成長は遅く、葉がチクチクすることを除けば管理しやすい。

 

・実がなるのは雌株のみだが、花のない時季に雌雄を見分けることはできない。購入の際に確認する必要がある。

 

・ソテツは乾燥した暖地を好み、関東以西の日向であれば霜除けなどの防寒対策なしでも越冬できる。潮風、大気汚染に強く、土質も選ばないため痩せ地でも育てられる。 

 

・温暖化とともに防寒対策の必要な地域は減っているが、本州中部以北の降雪地帯では画像のようにワラやコモで幹を包み込んで越冬させる。その際は葉を全て切り取った方がよい。それ以外の時季の剪定は、新しい葉が定着した初夏に古い葉を取り除く程度。管理は楽だが葉先が尖るため、多少の扱いにくさはある。

 

・湿地を苦手とするため植穴は浅めにし、土で小山を作って幹ごとを突き固めるように植える。ソテツは根がなくても土と密着させれば活着するが、支柱や添え竹が必要。特に株立ちのものは支えがないと台風で転倒しやすい。

 

【ソテツの品種】

・ウンナンソテツ

 中国の雲南省やインドシナ半島に分布するソテツの仲間。ソテツに比べると小葉が偏平しているが、反り返らない。

 このほか、葉に模様が入る斑入り種や、葉が二股になる品種がある。

 

【ソテツに似た植物】

・フェニックス

 ヤシの仲間だが葉の雰囲気がソテツに似ており、時折混同される。葉はソテツに比べて柔らかで扱いやすく、花材にも使われる。

 

シュロ  

 

クサソテツ

ソテツの基本データ

 

【分類】ソテツ科/ソテツ属

    常緑/低木・小高木

【学名】Cycas revoluta

【別名】オオソテツ

【成長】遅い

【樹高】1~7m

【移植】簡単だが重い

【用途】寺院/公園/鉢植え/花材

【値段】500円~

 

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