シュロ/しゅろ/棕櫚

Chusan Palm

椰子の木みたいな植物
日本の広い範囲で最も普通に見られるヤシの仲間
棕櫚の木の花
蕾の様子
しゅろの花
花の時期の様子
棕櫚の花の画像
開花は5~6月で花言葉は「勝利」など
しゅろ,木
ツボミはトウモロコシのような感じ
おばな,しゅろのはな
一つ一つの小さな花にシベがある(雄花)
棕櫚,実,種子
シュロの果実
棕櫚の木,増える
鳥によって運ばれた種子は容易に発芽する
棕櫚,毛
シュロの幹を取り巻くシュロ皮の様子

 

【シュロとは】

・日本を原産とする数少ないヤシ科植物の一つ。かつて九州南部に自生し、他の樹木にない南国風の雰囲気を持つことから、明治時代以降、関東地方以西の洋風庭園を中心に植栽されるようになった。さらにエキゾティックな庭木が普及した現代では庭園、公園に限らず民家の軒先、道端、藪の中で最も普通に見られる「ヤシみたいな木」である。

 

・一般にシュロという場合、本種と中国原産とされるトウジュロ(唐棕櫚)を区別せずに扱うが、本種をワジュロと呼んでトウジュロと区別することもある。シュロという名は中国名の「棕櫚」を音読みしたもの。

 

・幹(茎)は分岐せず真っすぐに伸び、枝もない。幹の頂部に生じる葉は扇状で、何枚もの細長い小葉が集まってできている。葉柄(葉の軸)は断面が三角形。丈夫で持ちやすく、切除した葉をそのまま箒として使うことができる。葉全体の大きさは直径150~250センチほど。

 

・幹には暗褐色の繊維「シュロ皮」が密生する。シュロ皮は伸縮性に富み、加工したものがタワシ、園芸用のシュロ縄、蓑、刷毛、敷物等に使われる。皮の中には意外にしっかりとした幹(木ではないので茎が正しい)がある。この茎は程良い硬さがあるため、お寺の鐘を突く「鐘突き棒」に使われる。

 

・5~6月になると葉の間から肉質の花序を垂下げ、そこにクリーム色の花を咲かせる。さほど観賞価値はないがその色形は人目を惹く。雌雄異株で雌株には淡い緑色の雌花と両性花が咲き、雄株にはクリーム色の雄花が咲く。

 

・花の後には直径1センチほどの丸い実ができ、10~11月になると黒紫に熟す。種子は野鳥によって容易に拡散され、そこらじゅうに実生のシュロ(「野ジュロ」という)ができる。

 

【シュロの育て方のポイント】

・暑さ寒さに強く東北地方でも育てられる。ヤシ科の中では最も耐寒性がある。

 

・乾燥、湿気に強く、土質を選ばずに育つ。病害虫の被害はほぼない。 

 

・成長は遅く、高さも普通は3~5mほどだが、20~30年もたてば高さ6~10mになるものもある。一旦伸びたシュロを低くすることはできず、移植も難しいため、植栽する場所は熟慮する必要がある。

 

・古い葉は茶色くなって残り続けるが葉柄は硬く、切除しにくい。また、幹が毛で覆われるため伐採は困難を極める。

 

・バーナーなどを用いてシュロの周辺にある雑草を処理する際、シュロ皮に燃え移って火災を引き起こすことがある。

 

【ワジュロとトウジュロの違い】

・ワジュロ(和棕櫚)は葉の付け根にある葉柄が長く、葉の先端がだらしなく垂れ下がるが、トウジュロ(唐棕櫚)は葉柄が短く、葉が上方へ切立ってすっきりとした印象を持つ。庭木としてはトウジュロが勝り、ワジュロを人為的に庭へ植えることは少ないが、両者の中間種も多く厳密な区別は難しい。

棕櫚の木の見分け方
トウジュロ
唐ジュロの木の葉,違い
トウジュロの葉
棕櫚の種類,見分け方
ワジュロの葉

 

【シュロに似ている木】

ビロウ

 

ソテツ 

 

ワシントンヤシ

 

ニオイシュロラン

シュロの基本データ

【分類】ヤシ科/シュロ属

    単子葉植物

【学名】Trachycarpus fortunei 

【別名】ワジュロ/ノジュロ

【成長】遅い

【樹高】5~10m

【移植】困難

【用途】公園

【値段】─(流通するのはトウジュロ)

 

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