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モウソウチク/もうそうちく/孟宗竹
Moso bamboo
【モウソウチクとは】
・北海道南部以南に分布する代表的なタケで、日本人がタケノコとして食べるのはほとんどがコレ。原産地は中国江南地方であり、薩摩藩主であった島津吉貴が1736年(江戸時代の半ば)に沖縄(琉球)経由で入手した株を藩内に植えたのが始まりとされ、鹿児島市の磯公園には日本初とされるモウソウチクの竹林がある。
・モウソウチクはタケノコが肉厚で食用に向くことや棹が加工しやすいことなどから各地に広まったが、繁殖力が高く、既存の森林へ侵入して他の樹木を枯死させるため、今日では厄介な植物として駆除の対象となることも多い。
・モウソウチクのタケノコがでるのは4月頃。タケノコは日に当たるとエグ味が出るため、地面から顔を出す寸前のものを早朝に収穫する必要がある。手入れが行き届いた竹林で収穫される良質のタケノコは「白子」と呼ばれ、放任された竹林で採る「黒子」と区別される。
・タケノコの皮は紫がかった黒褐色で剛毛に覆われ、黒い斑紋がある。その大きさを利用して食物などを包むのに使われる。ちなみにマダケの皮には毛がない。
・肉厚の悍はしなやかで加工しやすく、竹垣、民芸品、正月の門松に使われるが、1日で1mともいわれる成長の早さゆえに材は粗く、マダケよりも耐久性が落ちるため、籠など細かな編物細工には向かない。
・モウソウチクの節の環は一つで、二重になるマダケのそれとは異なるとする説が多いが、枝が出る節は二重で、枝のない節は一重になる。節の環の下にロウのような物質が着き、遠くからも白く見えるのが本種の特徴。
・稈は古くなると黄色くなり、このロウのような物質も薄くなっていく。葉は長さ4~10センチ、幅1センチ程度で、意外にもマダケより幅が狭くて小さい。古い葉は5~6月になると黄変した後に落葉し、新しい葉に入れ替わるが、この時季を「竹の秋」という。枝は上部の節から2本出るが、左右の太さは異なる。
・開花周期は60~70年で、全株で無数に花が咲く。マダケ(開花周期120年!)は開花後も生き延びるが、モウソウチクは花が咲くと地下茎ごと枯死する。
・モウソウチクという名前は、病床にある母がタケノコを所望し、これに応えるため親孝行な孟宗という名の息子が、冬にもかかわらず、このタケノコを掘り当てた、という寓話に由来する。
【モウソウチクの品種】
・キンメイモウソウ
稈に黄色い模様が入る品種。観賞用として日本庭園に植栽される。
モウソウチクの基本データ
【分 類】 イネ科/タケ亜科
マダケ属
【漢 字】 孟宗竹(もうそうちく)
【別 名】 カラダケ/カラ/カラモソ
【学 名】 Phyllostachys heterocycla
f. pubescens
【英 名】 Moso bamboo
【高 さ】 10~25m
【直 径】 8~25cm
【節間長】 20~50cm