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ハチク/はちく/淡竹
Henon bamboo
【ハチクとは】
・中国を原産とするマダケ属のタケだが、日本各地で野生化したものが見られる。耐寒性が高く、北海道南部や日本海側の本州でも育つが雪に弱いため、暖地の山中でより健全に育つ。高さ20mを超す大型のタケであり観賞用として植栽されるのは稀。専ら用材として植栽される。
・物事に勢いがある様を「破竹の勢い」というが、本種は「淡竹」であり棹の表面が淡い緑になることに由来する。「破竹の勢い」は特定のタケを指すのではなく、一旦節が割られたタケは次々に割れていくというタケ全般の性質による。
・ハチクのタケノコが出る時季は4~6月で、モウソウチクより遅くマダケより早い。タケノコの皮は淡い紫色で、はまばらに毛がある。食用とするのは、地上に出ている部分であり収穫はたやすい。主な生産地は近畿から九州の暖地。
・タケノコはモウソウチクよりもエグみやアクが少なく、甘味があって柔らかい。下ごしらえなしでも美味しく食べられるとあって、煮物や揚げ物に限らず多様なレシピで親しまれる。特にハチクのメンマは人気が高い。
・葉は長さ3~10センチ、幅1センチほど。先端が尖り、裏面は淡い緑色で、中心を走る葉脈には白い毛がある。葉の付け根を支える「要舌(ようぜつ)」と呼ばれる白い部分は三角形で、縁にトゲがあり、「肩毛(けんもう)」は短く、緑色になる。
・棹の表面が淡い色になるのは、蝋のような物質で覆われているためであり、マダケと見分ける大きなポイントになる。また、ハチクの節は二輪で上側が膨らんで突出し、タケの皮は薄くて赤みを帯びる。
・ハチクの棹には細かな維管束が多数あり、表皮も緻密であるため縦に割りやすい。抹茶を点てる筆のような茶筅(ちゃせん)には最適とされ、ヒゴ細工や花器にも使われる。また、皮は草履(淡竹草履という)に、枝葉は竹箒にと用途が多く、マダケ、モウソウチクと合わせて三大有用竹とされる。
【ハチクの品種】
・クロチク
ハチクの矮性変種で棹が黒くなる。観賞用あるいは工芸用として大いに普及している。
・ヒメハチク(フイリハチク)
瀬戸内海沿いに多い、より小型の品種。直立する棹が美しく、枝葉のバランスも良いことから、盆栽や庭園の材料に使われる。
ハチクの基本データ
【分 類】イネ科/タケ亜科
マダケ属
【漢 字】淡竹(はちく)
【別 名】クレタケ/カラダケ
ハッチク/ハチコ
アワダケ/スジノコ
【学 名】Phyllostachys nigra
var. henonis
【英 名】Henon bamboo
【高 さ】7~20m
【直 径】6~10cm
【節間長】20~40cm