庭木図鑑植木ペディア>タケ・ササの種類>トウチク
トウチク/とうちく/唐竹
Tootsik bamboo
【トウチクとは】
・中国南部及びベトナムを原産とするタケの一種でトウチク属に属する。日本で栽培されるタケの中では最も節と節の間が長く、節ごとに密生する葉の様子が、大名行列の先頭で振り歩く毛槍に似るため、ダイミョウチクとの別名がある。
・中国を原産とするため中国の旧国名である唐を冠してトウチク(唐竹)と名付けられた。ただし、日本にも自生があったとする説もあり、原産地ははっきりしない。現在は関西以西の各地で栽培され、庭園や露地の垣根等に使われる。
・トウチクのタケノコが出るのは5~6月頃で、タケノコの皮は紫を帯び、縁や節には毛が密生する。アク(苦味)が強く、他のタケに比べて特段美味なものではないが、下ごしらえを十分に施したものは食用とする。タケノコが伸びた後に残る竹の皮には模様がなく、明るいクリーム色になる。
・葉は長さ3~20センチ、幅1.5センチほどで表面は無毛だが、裏面には細かな毛が密生する。枝葉は放置すると間延びするが、剪定によってコンパクトかつ枝葉を増やすことができる(ただし、トウチクに限った話ではない)。
・棹は高さ10mほどに育つがモウソウチクやマダケに比べると低めであり、中形のタケとされる。棹は紫を帯び、若い棹には細かな毛があるが、後に無毛となる。二輪ある節は上側が高く盛り上がり、下側には濃い褐色の毛がまばらに生じる。
・トウチクの棹は柔軟性がなくて折れやすいため、竹材としての利用は少ないが、垣根や支柱に使う場合もある。温暖地向けのタケであり、冬季の寒風を苦手とするが、夏季の強い日差しにも弱い。
・トウチクの開花周期は100年ほどで、紐状の小穂が垂れ下がるが、日本での開花はほとんど記録されていない。
【トウチクの品種】
・スズコナリヒラ(シマダイミョウ)
葉にストライプ模様が入る品種で、庭に植えると原種よりも明るい雰囲気になるため好まれる。節間はトウチクよりも短い。
【トウチクに似ているタケ】
トウチクの漢字表記は「唐竹」だが、カラダケと読むこともできるためガラダケ、ガラタケなどと呼ばれることがある。さらに中国産のタケ全般をカラダケと呼ぶことがあり、地域によってはマダケやホテイチクもカラダケなどと呼ばれる。食用のタケノコをめぐっては名前のよく分からない細いタケ=中国産として、カラダケ、ガラダケなど気ままに称することさえあって混乱を極める。
また、トウチクの別名をダイミョウチクというが、ナリヒラダケやカンザンチクの別名にもダイミョウチクがあり、さらに植木屋の間ではトウチクのような枝葉に仕立てたタケ全般をダイミョウと呼ぶ風潮がある。結果、オリジナルなトウチクの存在は埋もれがちである。
トウチクの基本データ
【分 類】イネ科/タケ亜科
トウチク属
【漢 字】唐竹(とうちく)
【別 名】ダイミョウチク(大名竹)
ダンチク/デメチク
ダイショウダキ
【学 名】Sinobambusa tootsik
【英 名】Tootsik bamboo
【高 さ】5~10m
【直 径】3~5cm
【節間長】60~80cm