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オカメザサ/おかめざさ/阿亀笹
Ruscus-leaved bamboo
【オカメザサとは】
・庭園や公園の植込みに使われる多年生常緑竹。オカメ「ザサ」ではあるがタケの一種であり、タケとしては日本で最も背丈が低い。原産地はよく分かっていないが、西南日本(特に四国と九州)には野生があるとされ、関東地方以西に自生する。
・オカメザサ属のタケは本種のみであり、いわゆる一属一種の日本特産品である。学名は「Shibataea kumasaca Makino」で、植物学者の柴田桂太氏にちなむ。
・オカメザサという名は、かつて戎(えびす)神社等の酉の市で、この竹竿に縁起物の小さな熊手やヒョットコ、千両箱、そして阿亀(おかめ)の御面を吊り下げて販売していたことによる。こららは福を呼ぶ縁起物であり、オカメザサが庭園に多く使われるのは縁起を担いだという一面もあると思われる。
・タケノコが出るのは4~6月(年によって異なる)。その数は他のタケ類よりも多く、密生した状態になる。タケノコにある薄皮は早期に枯れて灰白色となり、やがて脱落する。タケとササの違いはタケノコの皮が早期に落ちるかどうかであり、この点でオカメザサはタケに分類される。
・葉は長さ5~10センチ、幅2~3センチ。長さのわりに幅の広いズングリとした形になり、丸みを帯びるため愛らしいイメージがある。表面は淡い緑色で、裏面は微細な毛があるため白っぽく見える。
・葉は高い位置にある節から出た5~6本の枝先に各1~2枚ずつできるが、先端付近では5~6枚が輪生するように見え、ゴマイザサ(五枚笹)との別名がある。枝はごく短く、葉が棹から直接生じるように見え、後から出る葉ほど大きくなるのが特徴。
・棹は緑色でササのように細く滑らかだが、節の部分は硬い。根茎に沿ってまばらに直立し、細さのわりには節間が長く、棹の断面は半円形になる。柔軟かつ強靭な性質を利用して、籠や小さな器などの細工物を作る材料とするが、伐採後に放置すると硬化して加工しにくくなる。
・オカメザサは強い刈込に耐え、比較的容易に造形できるため、大きな群落を作って全体を刈り込む「大刈込風」や低い生垣、グラウンドカバー、庭木の足元に植える「根締め」に使われる。クマザサも庭園に多用されるが、より柔らかな印象があるため女性的とされる。
・6~7月あるいは強い剪定の後、稀に開花するが、他のタケのように株全体が開花することはなく、棹単位で開花する。
【オカメザサの品種】
・葉に黄色の縦線が入る「シマオカメザサ」、白い模様が入る「斑入りオカメザサ」がある。
オカメザサの基本データ
【分 類】イネ科/タケ亜科
オカメザサ属
【漢 字】阿亀笹(おかめざさ)
【別 名】ブンゴザサ(豊後笹)
テンジンザサ/イヨザサ
ソロバンダケ/チンチクザサ
カグラザサ/イッサイザサ
イナリザサ/ゴマイザサ
【学 名】Shibataea kumasaca
【英 名】Ruscus-leaved bamboo
【高 さ】1~2m
【直 径】3~4mm
【節 間】5~15㎝