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レンゲツツジ/れんげつつじ/蓮華躑躅
Renge-tsutsuji(Japanese azalea)
【レンゲツツジとは】
・北海道西南部、本州、四国及び九州に分布するツツジ科ツツジ属の落葉低木。春に咲く大輪の花を観賞するため古くから栽培される定番の庭木で、多くの園芸品種の原種としても知られる。日本特産のツツジだが、中国を原産とするトウレンゲツツジの変種とされる。
・各地の山地、丘陵の草原に自生するが、寒冷地では平野でも普通に見られる。朱色の花が高原に群生する様は見事だが、これは花に毒性があって動物に嫌われた結果。牛も馬もこれを食べないため牧草地でも群生する。関東地方の名所としては、本種を県の花としている群馬県の赤城山、榛名山、浅間高原、武尊牧場などがある。
・レンゲツツジという名前は、蕾(あるいは花)が輪状に並ぶ様子を蓮華(ハスの花)に見立てたもの。開花は4~7月で葉の展開に前後する。日本産のツツジでは花が最も大きく、一枝に2~8輪ずつ咲く様は見事。花色は朱色が基本だが、地域や個体によって濃淡があり、変化が多い。
・花は直径5~8センチの漏斗状で、横向きに咲く。花冠は五つに裂け、上側の裂片には濃いオレンジの斑点模様がある。花の中心には1本の雌しべと5本の雄しべがあり、雄しべ(花糸)の基部には白毛を生じ、雌しべ(花柱)は無毛で長く突き出る。
・花の後にできる果実は長さ2~3センチの楕円形。白い短毛あるいは長い褐色の剛毛が生じ、枯れた花柱(雌しべの一部)が長い間、落ちずに貼り付く。果実の内部には深い溝があって5つに分かれており、10~11月に熟すと五つに裂け、多数の種子が飛び出す。
・葉は長さ5~10センチ、幅1.5~3センチの細長い卵形で先端はあまり尖らず、縁は細毛があって波打つようになる。葉肉は薄く、表面は深緑色。表面はシワが寄り、裏面は粉を吹いたように白くなる場合がある。秋は黄葉あるいは紅葉し、寒冷地では綺麗だが、乾燥した町中では見苦しくなる。
・レンゲツツジの有毒成分はアセビと同じグラヤノトキシン、ロードジャポニンで、花、葉、根皮を誤って食べると嘔吐、痙攣、呼吸困難などを引き起こす。かつては葉の毒性を利用し、煎じた液を殺虫剤として田畑に撒いた。
・樹皮は明るめの灰褐色あるいは灰白色で、株立ち状に細い幹が乱立することが多い。枝は太めで枝分かれは粗く、細枝には褐色の粗い毛がある。
【レンゲツツジの育て方のポイント】
・冷涼な地では生育良好だが、気温が高くて乾燥した都会では育てにくい。
・日当たりの良い場所を好み、日陰では花数が少なく、生育も悪い。
・火山灰土のような酸性土壌を好むが、栽培品ではあまり土質を選ばずに育つ。
・剪定に耐えるが、刈込はせずに自然樹形を観賞するのが一般的。
・有毒であるためペットや小さな子供がいる家庭では配慮が必要。花の蜜にも毒がある。
・挿し木は難しく、繁殖は実生によることが多い。
【レンゲツツジの品種】
・赤い花が咲くコウレンゲ(紅蓮華)あるいはレンゲボタン、濃い朱色の花が咲き、最も一般的に植栽されるカバレンゲ(樺蓮華)、九州に多く、黄色い花が咲くキレンゲツツジ(黄蓮華)、葉の裏面が特に白いウラジロレンゲツツジなどがある。
レンゲツツジの基本データ
【分類】ツツジ科/ツツジ属
落葉広葉/低木
【漢字】蓮華躑躅(れんげつつじ)
【別名】オニツツジ/イヌツツジ
ウマツツジ/ドクツツジ
アカギツツジ
【学名】Rhododendron molle
ssp.japonicum
【英名】Renge-tsutsuji
(Japanese azalea)
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】0.5~3m
【用途】花木/公園/花材
【値段】1000円