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ヤブデマリ/やぶでまり/藪手毬
Doublefile viburnum
【ヤブデマリとは】
・関東以西の本州太平洋側、四国及び九州に分布するレンプクソウ科の落葉樹で、ガマズミなどとともに雑木林や山地の谷筋などの水辺に見られる。日本のほか中国や朝鮮半島にも自生する。
・花や実の美しさから、近年は庭木として使われるようになった。ピンクの花を咲かせる「ピンクビューティー」や「恋花火」などの園芸品種も出回る。また白くて大きな毬状の花を咲かせるオオデマリもヤブデマリの変種とされることがある。
・ヤブデマリの開花は5月~6月で、画像のとおり、オオカメノキ(ムシカリ)やカンボクに似る。枝にびっしりと咲き誇り、花の季節になると昆虫がよく集まる。花序は直径5~10センチほど。
・花弁のように見えるのは装飾花で、五つに裂けるが、うち1つだけが小さい。本当の花は中央にある黄色い部分で両性花。雌しべ1本と5本の雄しべがある。オオデマリは全てが装飾花で、より華やかになる。
・ヤブデマリの葉は円形で直径は5~10センチほど。先端は尖るのが普通だが、中には浅く凹むものもある。葉の縁には浅いギザギザがあり、7~12対ある葉脈が目立つ。
・秋(8~10月)に赤から黒に熟す実は、ガマズミの代用として月見用の生け花に用いることがある。
・ヤブデマリという名前は、藪に生えて、手毬のような花を咲かせることに由来する。
【ヤブデマリの育て方のポイント】
・樹形は整いにくく、枝の張り出しが大きいため、本来は庭木として使われるような樹種ではなかったが、雑木の庭の名脇役として使われることが増えている。
・丈夫な性質を持ち、土質は問わない。寒さにも比較的強く、北海道中部辺りまで栽培可能となる。
【ヤブデマリに似ている木、見分け方】
・カンボク~似たような時季に似たような花を咲かせるが、葉の形が異なる。カンボクの葉はトウカエデやフウのように三つに裂ける。また、ヤブデマリは5枚の花びら(正確には装飾花)のうち、一枚が極端に小さいが、カンボクは5枚とも同じ大きさになる。
・このほかヤブデマリに似た木には、ゴマギやハクサンボクがある。
【ヤブデマリの品種】
・ケナシヤブデマリ
本州日本海側(東北~北陸)に分布する変種。葉は名前のとおり毛がなく、葉幅はヤブデマリよりも広い。
・コヤブデマリ
葉が小ぶり(直径3~5センチ)で、その先端が尖る。
・ピンクビューティー
装飾花が淡いピンク色になる品種。園芸用としては原種よりも好まれる。
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ヤブデマリの基本データ
【分類】レンプクソウ科
ガマズミ属
落葉広葉/低木~小高木
【漢字】藪手毬
藪手鞠(やぶでまり)
【別名】コチョウジュ(胡蝶樹)
ヘミノキ
【学名】Viburnum plicatum
var. tomentosum
【英名】Doublefile viburnum
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】2~6m
【用途】公園/雑木の庭
【値段】1500円~