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ムラサキシキブ/むらさきしきぶ/紫式部
Japanese beautyberry
【ムラサキシキブとは】
・北海道北東部を除く日本各地に分布するシソ科の落葉低木。山地の林、道路わきの藪などにも普通に見られる。9~10月頃に熟す直径3ミリほどの紫色の実が秋の庭を彩り、ネーミングの良さも手伝って、人気の高い下草となっているが、実際に植栽されているのはコムラサキが多い。
・江戸時代以前はミムラサキあるいはムラサキシキミ(紫色の実ができるシキミ)と呼ばれていたが、源氏物語の作者として著名な紫式部にあやかって商売上の理由で改名した(諸説あり)。
・実ほどには話題にならないものの、初夏(6~7月)になると葉の脇から花柄を伸ばし、淡い紅紫色の小花を咲かせる。花は直径3~5ミリと小さいが、長い雄しべの先にある黄色い葯と花冠の彩が美しく、微かな香りがある。
・ムラサキシキブの花粉を運ぶのはハナバチであり、花粉にはハナバチの幼虫に必要な栄養が含まれる。ハナバチが花に止まるとその重みで柄が曲がって雄しべが下を向き、先端にある穴から花粉がこぼれるようになっている。
・秋が深まると葉が黄色く色づき、ムラサキ色の実とのコントラストが際立つ。実は寒さが増すにつれて色合いを増し、野生のものはメジロ、ヒヨドリ、ウソなどの野鳥に採食されるが、庭植えの場合、葉が散った後も枝に残ることが多い。
・葉は長さ6~12センチの長楕円形で枝から対になって生じ、縁には細かなギザギザがある。葉先は尾状に尖り、付け根付近はクサビ形となり、両面ともほぼ無毛。似たようなヤブムラサキは葉や実に毛が多い。
・ムラサキシキブの幹は丈夫かつ、まっすぐであるため昔から杖や道具の柄などに使われてきた。
【ムラサキシキブの育て方のポイント】
・土質はあまり選ばないものの自生地は水辺が多く、湿気を好むため、根元が乾燥しないよう腐葉土などを漉き込んで植えつけると良い。また、乾燥の厳しい季節は水遣りが欠かせない。
・ムラサキシキブは背丈が最大で3mほどに育つ上、枝が乱れがち、なおかつ剪定を好まないとあって、狭い庭では本来の持ち味をいかすのは難しい。コムラサキの方がベターだが、それでも放任すれば高さ2m程度になる。
・2月ごろに寒肥を与えると実つきが良くなる。
【ムラサキシキブの品種】
・斑入りムラサキシキブ
葉に白い模様が入る品種
【ムラサキシキブに似ている木】
ムラサキシキブに比べて背丈、葉、実が小ぶり。自家受粉しやすく実のなりも良いため、一般家庭の庭に好んで使われる。ムラサキシキブの実は不揃いで、まばらな印象を受けるが、コムラサキは密生する。
宮城県以南の日本に分布する仲間で、葉や葉に細かな毛が多く、その姿がボヤっとしていることから名付けれらた。
・オオムラサキシキブ
ムラサキシキブの変種で、西日本の海岸近くに分布する。名前のとおり、ムラサキシキブよりも花、実、葉が大きく、実付きがよい。葉はムラサキシキブよりも毛が少なくて光沢があり、長さ20センチに達する。
・シマムラサキ
小笠原諸島の固有種で、ムラサキシキブに近い花や実ができるものの、雌雄別株という大きな特徴を持つ。小笠原諸島には他にもオオバシマムラサキ、ウラジロコムラサキという、ムラサキシキブの仲間が分布する。
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ムラサキシキブの基本データ
【分類】シソ科(クマツヅラ科)
ムラサキシキブ属
落葉広葉樹/低木
【漢字】紫式部(むらさきしきぶ)
【別名】タマムラサキ/ミムラサキ
ムラサキシキミ/コメゴメ
【学名】Callicarpa japonica
【英名】Japanese beautyberry
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】2~5m
【用途】花木/公園/切花
【値段】400円~