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ニガキ/にがき/苦木
Nigaki tree(Japanese Bitter Wood)
【ニガキとは】
・北海道から沖縄まで広い範囲の低山に分布するニガキ科ニガキ属の落葉高木。大隅半島で発見されたヘツカニガキという木があるが、そちらはアカネ科の樹木であり、日本にニガキ科の木は一種しかない。黄河より南の中国、朝鮮半島やヒマラヤ付近にも自生が見られる。
・樹皮や葉のみならず木全体に苦味成分であるクワッシンを含み、「ニガキ」と名付けられた。苦味には胃薬としての効能もあり、日干しした小枝を煎じた物、葉を刻んで粉末にした物が漢方薬「苦木」として売られており、センブリやキハダに並ぶ効果を発揮する。またニガキは、かの有名な太田胃散の原料としても表示されている。
・樹皮は平滑であまり特徴はないが、樹齢を重ねると縦に裂け目が入る。乾燥させた樹皮は解熱、解毒、殺虫に使われる。かつてニガキの樹皮は染料や毛ジラミの駆除剤として広く利用され、その傷跡が幹に残る道端のニガキも多い。
・葉は4~6対の小葉が集まって20センチほどの羽根状となり、枝から互い違いに生じる。小葉は長さ4~8センチの卵状で先端が尖り、縁には粗いギザギザがある。
・幹の直径は30センチ以上になる。きれいな黄色の材には程良い硬さがあり、寄木細工、象嵌、下駄、天秤棒などの道具を作るのに使われた。ジャマイカのニガキはヨーロッパでコップに加工され、これで水を飲むと胃が丈夫になるという。
・ニガキの開花は初夏(5月~6月)。その年に伸びた枝葉の脇から柄を伸ばし、緑色の小さな花を咲かせる。雌雄異株。雄花は5本の雄しべがあり黄色い葯が目に付くが、雌花は全体がほぼ緑色で目立たない。
・果実は2~5個の球体が連なる形だが、基部にはプロペラ状の羽根があり、9月頃に暗い緑色に熟すと風に乗って拡散される。果実には1~3個の種子を含むが、これにも苦み成分がある。
【ニガキの育て方のポイント】
・日向であれば放置しても丈夫に育ち、繁殖力も強い。自生はやや暗い林内が多く、半日陰にも耐える。
・葉が大きめで樹高も高くなるため、一般家庭での植栽には向かない。
【ニガキに似ている木】
・キハダ
同じような葉を持つが、ニガキの葉は縁のギザギザが目立つ。また、ニガキの樹皮はキハダの樹皮のようなコルク質にはならないので区別できる。他にもエンジュやアオダモは本種に葉が似る。
・ヘツカニガキ(辺塚苦木)
大隅半島の辺塚で発見されたアカネ科の落葉高木。枝葉に苦みがあり~ニガキと名付けられたが、艶のある葉を持ち、栗のような花を咲かせるなど、本種とは形態が全く異なる。
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ニガキの基本データ
【分類】ニガキ科/ニガキ属
落葉広葉/高木
【漢字】苦木(にがき)
【別名】クロハゼ
苦棟樹(くれんじゆ)
黄棟樹/クボク(苦木)
【学名】Picrasma quassioides
【英名】Nigaki tree
(Japanese Bitter Wood)
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】10~15m
【用途】薬用
【値段】3,000円~