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ナツメ/なつめ/棗
Jujube
【ナツメとは】
・南ヨーロッパ及び西方アジア(あるいは中国北部)を原産とするクロウメモドキ科の落葉樹。日本に自生はないが、大和地方の古代住居跡から種子が出土しており、相当古い時代に中国を経て渡来したとされる。ただし、ナツメはサネブトナツメの改良品種であり、自生は存在しないという説もある。
・中国や朝鮮半島では行事に欠かせない果実となっている。日本でも万葉集に登場するほど親しまれ、かつては農家の庭先に植えられることも多かった。トゲがあって扱いにくいためか、近年では公園や庭園で稀に植栽される程度。
・ナツメの開花は6~7月。葉の付け根にライトグリーンの小さな花を咲かせる。あまりに小さくて見分けにくいが、一本の同じ木に雌花と雄花が咲き、雄花では雄しべが目立つ。
・花が終わると長さ15~25ミリほどの楕円形の果実ができ、9~11月頃になると紅褐色に熟す。種が多くて食べる部分は少ないものの、リンゴのような風味があって生食できる。
・ナツメの果実は栄養が豊富で、乾燥させたものは薬用となる。漢方で「大棗(たいそう)」と呼び、強壮、利尿、解熱に効果があるとされる。また、ドライフルーツとして菓子、サムゲタンなど薬膳料理の材料に使うことでも知られる。
・葉は卵形で枝から互い違いに生じる。表面は光沢があって3本の葉脈が目立ち、縁には不規則なギザギザがある。長い枝には托葉が変化した鋭いトゲを生じるが、トゲのない品種もある。
・ナツメという名前は、芽出しの時期が初夏であることから。実際は他の落葉樹と比べて多少遅い程度。ナツメと聞くと抹茶を入れる茶器を連想される向きもあるが、これは本種の果実に形が似ることからの命名。
【ナツメの育て方のポイント】
・土質を選ばず丈夫に育つ。ただし日向を好む典型的な「陽樹」であり、日陰では収穫も期待できない。
・温暖で乾燥した土地を好み、湿気が多いと育ちが悪い。寒さにも強く、青森県あたりまでなら植栽できる。
・樹形は整いにくい。棘のある枝が四方八方に広がるため扱いにくい。
・雌雄同株であり1本だけでも実ができるが、7月に雨が多い地方では収穫が少なくなりがちであり、収穫高を上げられる地域は限られる。また、台風や強風で花や実が落ちやすい。
【ナツメの品種】
・サネブトナツメ(実太棗)
ナツメよりも実の外見は小さくて丸く、味は酸っぱい。核(種子)がナツメより大きいため名付けられた。乾燥させた種子を漢方に使う。このほかナツメは非常に品種が多く、熱帯~温帯に約100種もが分布するが、いずれも日本には見られない。
【ナツメに似た木】
・ハマナツメ(浜棗)
ナツメと同じクロウメモドキ科だが、ハマナツメ属の落葉低木。紀伊半島以西の沿海地に見られ、ナツメに似た葉や花を生じ、枝には鋭い棘もあるが、翼のある円錐形の果実ができる。キリストの荊の冠はハマナツメの近縁であるセイヨウハマナツメでできていたとされる。
【ナツメに名前が似ている木】
・しばし混同されるが、ヤシ科のナツメヤシ(以下)とは、まったく関係がない。ちなみにナツメヤシは中東や北アフリカなどの乾燥地において栽培されるヤシで、「デーツ」と呼ばれるその実は、乾燥地で収穫できる貴重な作物となっている。
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ナツメ(棗)の基本データ
【分類】クロウメモドキ科/ナツメ属
落葉広葉/小高木
【漢字】棗(なつめ)
【別名】オオナツメ/タイソウ
【学名】Ziziphus jujuba
【英名】Jujube
【成長】やや早い
【移植】ふつう
【高さ】3m~10m
【用途】果樹/シンボルツリー
【値段】800円~