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ドウダンツツジ/どうだんつつじ/満天星
White enkianthus
【ドウダンツツジとは】
・房総半島南部及び天城山以西の本州、四国、九州に分布するツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。蛇紋岩地帯と呼ばれるマグネシウムを多量に含む土壌で稀に自生が見られる。
・樹齢150年を超える株がある兵庫県豊岡市の但馬安國禅寺や三重県の朝熊山周辺がドウダンツツジの名所だが、園芸用としては日本各地で大量に出回っている。
・特に関東地方では庭園や垣根、ビル街の植込みに多用されるが、ドウダンツツジが庭木に使われるようになったのは明治時代以降のことで、庭園に造詣の深かった山県有朋が、庭に植えたことに由来するという。
・ドウダンツツジの開花は葉の展開前かほぼ同時の4~5月。スズランを細くしたようなベル型の花が、1~5輪ほど集まって下向きに咲く。花の直径は7~8ミリほど。五枚の花弁が合体してできており、先端は浅く五つに裂けて反り返る。
・花の後には長さ6~9ミリほどの乾いた果実ができ、7~10月頃に熟すと上向きになって自然に裂ける。中に含まれる多数の種子は自然に飛び出し、これを蒔けば増やすことができるが、繁殖は挿し木が一般的。
・葉は菱形に近い長楕円形だが変異が多い。長さ2~4センチ、幅1~1.5センチほどで縁には細かなギザギザがあり、枝先で車状に集まっているが、枝から互い違いに生じる。花以外にもライトグリーンの新緑や紅葉が美しく庭木としての需要が多いが、特に寒い地方では紅葉が美しい。
・枝分かれの様子が、かがり火をたく「結び灯台」という燭台(昔のライトスタンド)に似ていることから、「トウダイツツジ」、それが転訛して「ドウダンツツジ」となった。秋に紅葉し果実が裂け始めた頃の姿が、最も結び灯台に似る。
・漢字表記の「満天星」は何とも奇妙だが、中国の道教の神である太上老君が天上で薬を練っていた時、誤って霊水をこぼし、水滴がこの木にかかって壺状になり、満天の星のように輝いたという故事に由来する。
・主幹は直立するが分岐も多く、樹形は自然に整う。樹皮は平滑だが光沢があって美しく、樹齢を重ねると画像のように一部が剥離する。
【ドウダンツツジの育て方のポイント】
・成長が緩やかで、大きくなるまでに時間がかかるため、比較的狭いスペースでも育てられる。耐寒性、耐暑性があり、乾燥や病害虫にも強い。
・花を存分に楽しむためには日向に限るが、非常に丈夫な木であり、半日陰程度なら耐えられる。また、土質もあまりこだわらずに育つ。
・枝分かれが多く枝葉が繁茂するため、生垣や玉作りなど好きな形に剪定しやすい。真夏を除けば、葉が全てなくなるような強い剪定にも耐える。剪定をサボると下の方の枝がなくなりやすく、垣根の場合は用心したい。
・落葉性であり、冬場は葉を落とすため、目隠しにはならない。また、人によっては冬場の棒状の枝を寂しく感じる。
【ドウダンツツジに似ている木】
・ヒロハドウダンツツジ
名前のとおり、葉幅が広い品種で、山地の岩場などで稀に自生する。
葉の大きさがまったく異なり、ドウダンツツジより大きいため紅葉が大変美しい。木の高さもより高くなる。濃いピンク色のスジが入る花は、香りが独特で、人によっては不快にさえ感じる。変種に深紅の花が咲くベニサラサドウダンがある。
朱色に近い紅色ないし赤色の花が咲く品種
・シロドウダン
シロドウダン=白い花が咲くドウダンツツジではなく、ベニドウダンの白花種。ドウダンツツジよりも枝分かれの多い低木で、刈り込んで庭木にするような種ではなく、自然な形を楽しむもの。庭木としての利用は少ない。
ドウダンツツジと同時期により小さな花を咲かせ、別名をヤマドウダンという。コアブラツツジという品種もある。
・カイナンサラサドウダン
愛知県、三重県、和歌山県及び四国の太平洋側に自生する品種で、ブドウの房のように連なった大きめの花を咲かせる。
ドウダンツツジの基本データ
【分類】ツツジ科/ドウダンツツジ属
落葉広葉/低木
【漢字】満天星躑躅(どうだんつつじ)
【別名】ドウダン/カメコツツジ
フデノキ/トウダイツツジ
ドウダンモミジ
【学名】Enkianthus perulatus
C.K.Schneid
【英名】White enkianthus
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】1~6m
【用途】花木/公園/垣根
【値段】500円~