庭木図鑑 植木ペディア > トサミズキ
トサミズキ/とさみずき/土佐水木
Spike winter hazel
【トサミズキとは】
・主に土佐(高知県)の山地に自生するマンサク科の落葉樹。早春に咲く黄色い花を観賞するため、自生地以外でも広く庭園や公園に植栽され、伝統的な生け花の世界では、単に「ミズキ」と呼んで親しまれる。
・枝を切ると水気の多い樹液が流れ出すこと、あるいは葉の様子がミズキに似ることからトサミズキと名付けられた。庭木として知られるようになったのは江戸時代後期で、当時は葉に模様の入った斑入り種がもてはやされた。
・トサミズキの開花は3~4月で葉の展開に先立つ。小花は直径7ミリ程度で7~10輪が集まって咲き、花の付け根には「苞葉」と呼ばれるレモン色の膜があるが開花後しばらくすると脱落する。花茎は長さ4センチほどで、ここに毛が密生するのがコウヤミズキとの違い。
・花の後にできる果実は長さ1センチほどで、表面には星状の毛が密生する。果実が熟すのは10~11月で、自然に二つに裂けると中から細長い楕円形の黒い種子が2粒ずつ顔を出す。種子は発芽しやすく、これを蒔けば繁殖できる。
・葉は枝から互い違いに生じ、直径5~10センチほどの楕円形になる。基部はハート形で5~7対ある葉脈(側脈)が目立ち、縁が波状になるのも本種の特徴。葉の裏や葉柄、若い枝には星状の黄色い細毛が密生し、手で触れるとザラザラした感じがする。
・幹は直立するが、細い幹が多数生じて株立ち状になることも多い。枝は弓なりに屈曲して育つため、雑木の庭や芝庭などで木々の合間に植えると、野趣に富んだ雰囲気を作ることができる。
【トサミズキの育て方のポイント】
・自生地は蛇紋岩の山地であり石灰岩質を好むが、庭木として流通するものは土質を選ばずに育つ。
・日向を好むが、半日陰でも育てられる。乾燥地は苦手であり、適度な湿気が必要。
・病害虫に強いが、寒さにはやや弱い。
・芽を出す力はあるが、基本的に枝数は少なく、あまり剪定を好まない。また、花が咲くのは前年に伸びた葉の脇であり、晩秋~春に強い剪定をすると花数が少なくなる。
【トサミズキの品種】
・ブータントサミズキ
花弁が細く、花に芳香がある。
文字どおり花に強い芳香がある品種。原産地は中国で別名をシナミズキというが、園芸用として日本でも普通に出回っている。
【トサミズキに似ている木】
同じマンサク科トサミズキ属の植物だが、葉も花もトサミズキより小さく、枝も細い。また、トサミズキは花が7~8個単位で垂れ下がるのに対して、ヒュウガミズキは2~3個単位と少ない。なお、トサミズキ属は7種あるが、日本にはトサミズキ、ヒュウガミズキ、コウヤミズキ、キリシマミズキの4種が自生する。
|
トサミズキの基本データ
落葉広葉/低木
【漢字】土佐水木(とさみずき)
【別名】シロムラ/蝋弁花
ミズキ(美豆木)
【学名】Corylopsis spicata
【英名】Spike winter hazel
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】2~4m
【用途】花木/公園/切り花/盆栽
【値段】500円~