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タムシバ/たむしば/田虫葉
Willow-leafed magnolia
【タムシバとは】
・本州、四国及び九州の山地や深山に分布するモクレン科モクレン属の落葉樹。コブシの仲間で西日本と雪深い日本海側に多く、関東地方ではほとんど見られない。東北の日本海側ではコブシとタムシバが同時に開花する。
・風変わりな名の由来には、葉っぱにタムシ状の白い斑点があることから「タムシバ」、あるいは、葉を噛むと甘みがあるため「カムシバ」、これが転訛してタムシバとなったという二つの説がある。
・葉にとどまらず、樹皮、枝にもクロモジのようなさわやかな香りがあるためニオイコブシ、枝葉を噛むと甘味があるため、サトウシバという別名がある。
・タムシバの開花は4~5月で葉の展開に先立つ。花は直径6~10センチほどで、9枚の花弁があるが外側の3枚は小さく、内側の6枚は大きい。花全体の雰囲気はコブシに似るがより大きいものが多く、香りもより強い。また、コブシの花の下には葉が1枚あるが、タムシバではそれが見られない。
・花の後には小さな袋状の果実が集まった「集合果」ができ、10月頃に熟すと自然に裂けて、中から赤い種子が糸を引いて垂れ下がる。
・タムシバの葉は枝から互い違いに生じて先端が尖り、基部はクサビ形になる。コブシよりも葉の幅は狭く、裏側には毛があるため白く見える。雪が多い地域に生じるため、冬芽は銀色の長い毛に包まれ、越冬の姿も美しい。
【タムシバの育て方のポイント】
・明るい場所を好み、日向であれば土質を選ばず丈夫に育つが、暑さにはやや弱い。
・強風、潮風、痩せ地にも強い。
・時折テッポウムシの被害に遭うこともあるが、基本的には病害虫に強い。
・成長が遅く、コブシほど樹高が高くならないため手間もあまりかからないが、実生から育てると開花までに時間がかかる。また、大きくなると開花が隔年になりやすい。
【タムシバの品種】
・ヒロハタムシバ
その名のとおり葉の幅が広い品種で、九州南部に自生する。
・ワダズメモリー
コブシとの雑種と考えられる品種で、花つき、香りがより良い。
【コブシとタムシバの見分け方】
・タムシバはコブシよりも海抜の高い地に見られ、花がより小さく、花弁の幅が狭い。花の萼はコブシが緑色であるのに対し、タムシバは白で花弁との見分けがつきづらい。また、タムシバの葉はコブシよりも細長くて毛がない。タムシバは日本海側に多く、関東や東海地方では見られない。
【タムシバに似た花木】
タムシバの基本データ
落葉広葉/高木
【漢字】田虫葉(たむしば)
【別名】ニオイコブシ/カムシバ
サトウシバ
【学名】Magnolia salicifolia
【英名】Willow-leafed magnolia
【成長】遅い
【移植】困難(実生で育てる)
【高さ】3~10m
【用途】花木・公園
【値段】1000円~