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オヒョウ/おひょう/於瓢
Manchurian Elm
【オヒョウとは】
・日本全土を含めた東アジアに分布するニレ科の落葉高木。日本では北海道の山地に多いが、九州までの各地に見られる。
・カレイに似たオヒョウという魚がいるが、本種とは関係なく、「オヒョウ」は本種の樹皮を意味するアイヌ語の「オピウ」が転訛したもの。
・葉は長さ7~15センチほどで、先端は3~5つに裂けて不規則に尖る。表面には毛が多くてザラつき、かつ縁のギザギザも大きい。葉は左右非対称でよく目立つが、中には切れ込みの全くない葉もある。日当たりの良い場所では秋に黄葉する。
・オヒョウの開花は、新葉が展開する前の4~6月で、北海道の花木としては最も早い。花はハルニレと同じような色合いで、小さな花が球状に集まる。各小花は釣鐘型で先端が5~6つに裂け、5~6本ある雄しべが突き出す。雌しべは一つで、その先端は二つに裂ける。
・花の後には長さ1.5~2センチの楕円形の果実ができ、夏~秋になると褐色に熟す。
・幹は直径1mほどに達し、材木はハルニレに混じって「ニレ材」として流通し、家具材、薪やパルプに利用される。ただし、年々その数は減っている。
・経年と共に樹皮は縦に裂け、下からめくれる。樹皮は繊細かつ丈夫であり、かつてアイヌの人々はこれを採取して繊維を作り、「厚司織(アツシオリ/アットゥシ)」を縫って普段着としていた。
【オヒョウの育て方のポイント】
・寒さに強く、基本的には丈夫で育てやすい。ただし、暖かい地方では病害虫の被害に遭いやすい。
・枝の出方が粗雑で樹形を整えにくい。また、最終的には直径1m近い大木となるため、家庭で育てる場合は芯を止める(幹を途中で切断する)必要がある。また、根が深く張るため移植が難しい。
・自生は沢沿いの斜面で、湿気と養分のある土を好む。
・葉はエゾヨスジワタムシによる「虫こぶ」ができて見苦しくなることがある。
オヒョウの基本データ
【分類】ニレ科 ニレ属
落葉広葉 高木
【漢字】於瓢(おひょう)
【別名】アツシノキ/アツシ
アツニ/オヒョウニレ
ネバリジナ/ヤジナ/アッシ
【学名】Juglans sieboldiana Max.
【英名】Manchurian Elm
【成長】早い
【移植】困難
【高さ】20~25m
【用途】公園
【値段】1000円程度