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オカメザクラ/おかめざくら/阿亀桜
Okame-zakura(Japanese blooming cherry)
【オカメザクラとは】
・早咲きのサクラの一つで、1947年にカンヒザクラとマメザクラ(富士桜)をイギリスで交配して作ったものが逆輸入された。花色が濃くて華やかでありながらも、樹高が大きくならないことから、人通りの多い場所の街路樹や狭い庭のシンボルツリーとして使われる。
・原種となるサクラは日本のものだが、これを作出したのはイギリスの園芸界で「チェリー・イングラム」として知られるコリングウッド・イングラム氏。彼は日本の桜に惚れ込む一方、関東大震災後に近代化が進む日本を憂い、多様な日本のサクラをイギリスの自宅で保存しようと活動した。
・オカメザクラの開花時期は普通、3月中旬~下旬だが地域や天候によっては2月下旬から4月上旬になる。カンザクラより1ヶ月ほど遅く、ソメイヨシノより2週間ほど早い。名所としては神奈川県小田原市の根府川、京都の長徳寺、大阪の鶴見緑地、東京日本橋のあじさい通りなどがある。
・同じ時期に咲くピンクのサクラにはカワヅザクラ、カンヒザクラ、オオカンザクラなどがあるが、花はそれらよりも遥かに小さく、直径は1~1.5センチほど。本種を見慣ない人が、「モモかな?ウメかな?アンズかな?」というほど、サクラには見えない。花の小ささを生かして盆栽にすることもある。
・花は一重で花弁は5枚。花色はやや紫がかった濃いめのピンク色で下向きにつき、花弁が完全に開ききらないのが特徴。花の基部の「萼」と呼ばれる部分はカンヒザクラと同様に紅色が濃い。花の後には稀にサクランボができるが、繁殖はほぼ接ぎ木による。
・オカメザクラの新芽は赤く、花が終わると開き始める。葉も長さ3~5㎝、幅1~3㎝ほどと小さめで、先端が尖り、マメザクラのそれに近い。
【オカメザクラの育て方のポイント】
・日当たりと風通し、そして水はけのよい肥沃な場所を好む。
・苗木を植えても、開花までは3年ほどかかる。
・寒さには強い方だが、植栽の適地は東北地方以南となる。
・他のサクラに比べれば枝が横に突き出しにくいものの、樹齢を重ねれば邪魔な枝が生じる。剪定はあまり好ましくないが、不要な枝は冬季に根元から取り除く。
・花にはメジロやムクドリが集まり、食害することがある。
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オカメザクラの基本データ
【分類】バラ科/サクラ属
落葉広葉/小高木
【漢字】阿亀桜(おかめざくら)
【別名】チチブベニザクラ/オカメ
【学名】Prunus incamp cv. Okame
【英名】Okame-zakura
(Japanese blooming cherry)
【成長】やや早い
【移植】難しい
【高さ】2~3m
【用途】花木/シンボルツリー
盆栽
【値段】2、000円~