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アサガラ/あさがら/麻殻
Silver bell tree
【アサガラとは】
・近畿以西の本州、四国、九州に分布するエゴノキ科の落葉樹。山地の落葉樹林内に多く、日本に自生するエゴノキ科3種(ほかにエゴノキ、ハクウンボク)の中は最も大きく育つ。初夏に咲く花に観賞価値があるものの庭木としての生産量は少なく、流通は稀。日本以外では中国に自生する。
・5月から6月にかけて咲く花は、エゴノキやハクウンボクに似るが、花の集りである花序が分岐して横に広がる性質を持つ。白い小花は先端が深く五つに裂けるが、基部のつながった合弁花で下向きに咲く。
・花の後にできる果実は長さ1センチほどの歪な卵形。周囲を包む萼や内部の種子には稜(棘のようなもの)がある。
・アサガラの葉は長さ7~13センチほどの広い楕円形で、枝から互い違いに生じる。葉の先端は尖り、縁に細かなギザギザがある。
・樹皮はコルク質が発達し、浅く裂けやすい。材は非常に柔らかく、皮をむいた麻の茎に似るとしてアサガラ(麻殻)と名付けられた。器具、マッチの軸、割り箸をなどに使われ、地方によっては盆の迎え火を焚くのに用いた。
・アサガラはシーボルトらによって発見された当時の新種だが、肥後地方の山中から実際に標本を持ち帰ったのは、シーボルトの弟子である医師の美馬順三氏である。美馬氏は若くしてコレラに罹患し、他界している。
【アサガラの育て方のポイント】
・自生地は渓流沿いや谷間などの湿地が多いものの、丈夫な性質を持ち、土質を問わずに育つ。
・半日陰程度なら十分に育つ。多数の花を望むなら日向に植える必要がある。
・寒さに強く、北海道南部以南であれば植栽できる。
・成長が早いものの、剪定によって抑えることは可能。ただし、樹形は整えにくい。自然樹形を鑑賞するのが望ましい。
【アサガラの品種】
・オオバアサガラ
文字どおり大型の葉を持つ種で、北海道では庭木として使われる。葉の裏面が白く、花序が縦長になる。
アサガラの基本データ
【分類】エゴノキ科 アサガラ属
落葉広葉 高木
【漢字】麻殻(あさがら)
【別名】トウミョウ/スクモギ
【学名】Pterostyrax corymbosus
【英名】Silver bell tree
【成長】かなり早い
【移植】ふつう(通常は実生で増やす)
【高さ】10~15m
【用途】雑木
【値段】1000円~