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フヨウ/ふよう/芙蓉
Cotton rose hibiscus
【フヨウとは】
・中国の中部を原産とするアオイ科の落葉低木。日本では九州と四国の南部、沖縄の沿海地に野生化したものが自生する。ハイビスカスの仲間であり、夏から秋にかけて咲く鮮やかな花を観賞するため、庭木、公園樹あるいは街路樹として植栽される。
・フヨウという名前は中国名に由来するが、中国では「木芙蓉」と表記し、中国での「芙蓉」はハスを意味する。「木芙蓉」は、花がハスに似ている木という意味。
・フヨウの開花は7~10月(沖縄では春と秋の二回)で、上部にある葉の脇に咲く。直径10~15センチと大きく存在感もあるが、一日しかもたない「一日花」であり、その儚さが風情を感じさせる。中国では古くから美人の形容に使われ、日本でも絵画、詩歌の題材となり、着物や工芸品にデザインされることが多い。
・花弁は淡い紅色か白色で縦皺が入り、やや螺旋状に生じる。花の中央にある雌しべ(花柱)の先端は五つに裂け、合着して筒状になった多数の雄しべに連なる。花の後にできる果実は直径2~3センチの堅い球形で全体に粗い毛があり、10~12月に熟すと五つに裂けて、毛のある種子を飛ばす。
・葉は直径10~20センチの手のひら状で、浅く3~7つに裂け、縁には鈍いギザギザがある。葉の両面、葉柄に白毛があり、触れるとザラつく。長い柄があり、枝から互い違いに生じる。
【フヨウの育て方のポイント】
・半耐寒性で東北地方南部以南の暖地に植栽できる。寒冷地では冬に地上部を枯らすため、園芸的には宿根草のような扱いとなる。
・日向であれば土質を選ばずに育つ。アスファルトやコンクリートの隙間から顔を出すほど力強い。環境の悪い高速道路の街路樹としても使われる。
・温暖な時季であれば根元で切り戻してもすぐに復活するが、花はその年に伸びた枝の先端に咲くため、開花前に切り戻すと花つきが悪くなる。
・株立ち状に育ち、上部で多数枝分かれするのが基本だが、冬を迎えるころに地上部をすべて切り除くように管理すると、高さ1.5m程度の状態を維持できる。
・ハマキムシの発生が見られるので、見付け次第、駆除する。
【フヨウの品種】
八重咲きになる園芸品種。朝に白い花を咲かせ、午後からピンクに変わる様を、人が酒に酔った様子になぞらえて命名された。
・サキシマフヨウ
九州西部以南に分布する南方系のフヨウ。沖縄などでは普通に見られ、葉の切れ込みがフヨウよりも浅い。
・アメリカフヨウ(セイヨウフヨウ)
手が隠れるほど巨大な花を咲かせる品種で、日本でも盛んに栽培されている。葉に裂け目がなく、花数は多い。
【フヨウに似ている植物】
・ムクゲ
同じ時季に同じような色合いの花を咲かせる。
熱帯及び亜熱帯を原産とする仲間。
・ハマボウ
神奈川県以西の海岸に自生する落葉低木。夏にレモン色の花を咲かせる。
亜高山帯に自生する多年草。分類上の関連はないが花や葉の様子が似る。
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フヨウの基本データ
【分類】アオイ科/フヨウ属
落葉広葉/低木
【漢字】芙蓉(ふよう)
【別名】モクフヨウ(木芙蓉)
【学名】Hibiscus mutabilis
【英名】Cotton rose hibiscus
【成長】かなり早い
【移植】やや難しい
【高さ】1~4m
【用途】公園/街路樹/鉢植え
【値段】500円~