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ヒマラヤザクラ/ひまらやざくら/喜馬拉桜
Wild Himalayan Cherry
【ヒマラヤザクラとは】
・中国雲南省、ネパール中部、インド、ブータンなどヒマラヤ近くの高山地帯やミャンマーを原産とするバラ科の落葉高木。日本ではジュウガツザクラなどとともに、モミジが紅葉する晩秋かた初冬に開花する珍しいサクラとして公園や植物園などに見られる。本種を日本のサクラ(ヤマザクラ、エドヒガン、オオシマザクラなど)の起源とする説もあるが真偽は判明していない。
・ヒマラヤザクラが日本へやってきたのは昭和43年5月のことで、当時、皇太子であったネパール国王が熱海を訪れた際、熱海植物友の会から当地のサクラとウメの種を献上され、その返礼として種子を贈ったものが全国に広がったとされる。
・開花は11月下旬~12月上旬。雌雄両性の花は直径1センチほどで5~12輪ほどがまとまって咲く。一重の大輪だが画像のようにシベが長く突き出るためゴージャスな印象を与える。花の色は個体や環境によって濃淡があり、白、ピンクまたは深紅となる。開花は他に花の少ない時期であり、この蜜を求めてムクドリなどの野鳥が集まる。
・花の後には直径1~1.5センチほどのサクランボができ、緑、黄色、赤と色を変えながら翌年3~5月に熟す。このサクランボは生で食べることができ、これもムクドリやメジロなどの野鳥が好んで食べる。種子を蒔けば発芽するが、発芽までに1年半以上かかることある。
・ヒマラヤザクラの葉は長さ8~12センチほどの細長い楕円形で、枝から互い違いに生じる。葉の縁にはギザギザがあり、先端が尖るのが特徴。二酸化炭素や二酸化窒素を減らす効果がソメイヨシノの5倍もあるとして、地球温暖化の危機が叫ばれる世の中で注目を集めている。
・樹皮は艶があるものの凸凹が目立ち、日本のサクラのように綺麗にはなりにくい。材は緻密で丈夫な上、上質な芳香があり、建材はもとより工芸品やアクセサリーを作るのに使われる。
【ヒマラヤザクラの育て方のポイント】
・陽樹であり、日当たりと水はけの良い場所を好む。また、名前のわりに耐寒性は低く、北関東以北では屋外で越冬できない。
・根の張りが浅いため台風等で倒木しないよう植え付け後は支柱を添えるのがベター。
・他のサクラ類と同様に強度の剪定を嫌うが、日本の風土では樹形を乱しやすい。落葉期であれば多少、枝を切っても枯れこむリスクは低い。
・開花期が虫の少ない時期であるため他のサクラよりも害虫は少ないが、春から夏にかけて葉に害虫がつくこともある。
【ヒマラヤザクラに似ている木】
ヒマラヤザクラの基本データ
【分類】バラ科/サクラ属
落葉広葉/高木
【漢字】喜馬拉桜(ひまらやざくら)
【別名】─
【学名】Prunus cerasoides
【英名】Wild Himalayan Cherry
【成長】やや遅い
【移植】困難
【高さ】5~30m
【用途】公園/庭園/鉢植え
【値段】2、000円程度~