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ハマナス/はまなす/浜梨
Japanese rose
【ハマナスとは】
・北海道、茨城県以北の太平洋岸、山陰地方以東の日本海岸に自生するバラ科の低木。寒冷地に使える貴重な花木として特に北海道で普及している。同地の原生花園で今上天皇が本種を特に愛でたことにちなみ、雅子皇后の御印となっている。
・ハマナスとハマナシの両方の呼び方があって混乱しやすいが、ハマナシを正式名とする説が有力。ハマナシ(浜梨)は、浜辺に生じ、梨のような味のする実がなることからで、ハマナス(浜茄子)は実をトマト(=赤茄子)に例えたことから。また、正式名のハマナシが東北訛りでハマナスになったという説もある。
・海岸地に群生する様子が美しく、本来は狭い庭に使うような樹種ではないが、庭木や鉢植え、公園の植栽などに使われる。花期は夏(5~8月)で、日本の野生バラとしては大きな直径5~8センチの花が枝先に1~3輪ずつ咲く。
・5枚ある花弁は紅色または紅紫色で、花の裏側にある球形の「萼筒」には、棘や毛を生じる。花には強い香りがあり、ライラックやニセアカシア同様、香水に使われる。
・ハマナスの実(偽果)は直径2センチほどで一般的なバラの実より大きい。8~9月に熟すとプチトマトのようになるが、果肉は甘酸っぱい。食用できるものの、ナシほどに美味しいわけではなく種も多いが、ビタミンCを豊富に含む。
・葉は3~4対の小葉からなる羽根状で、小葉の先端は丸く、縁にはギザギザがある。葉脈が深くてシワシワに見える。また、自生種の枝には太いトゲが密生するが、栽培品種の多くはトゲがない。同じようにトゲのあるヒイラギが魔除けに使われるように、かつてアイヌの人々はこれを戸口に刺して魔除けとした。
・ハマナスは日本以外でも中国や朝鮮半島、樺太に見られ、漢名を「玫瑰(まいかい)」という。花弁を乾燥させた玫瑰花は整腸に、材を煎じた液は刺青の消毒に使った。
【ハマナスの育て方のポイント】
・耐寒性、耐潮性に優れ、バラの台木に使われるほど強い性質を持つが暑さにはやや弱く、太平洋岸での天然分布の南限は茨城県の波崎町。園芸用として出回るものはこの限りではない。
・本来は砂地に生えるが、普通の庭土でも問題なく育つ。
・暖かい地方では枝葉が繁茂しやすく、花数は少なくなる。
・株立ち状に育つのが基本で、背丈は最大でも2m程度に収まる。剪定せずに自然樹形を鑑賞するのが基本。枝が萼はトゲだらけであり、剪定には決意と手間がかかる。
【ハマナスの品種】
・変種に白花、黄花、そしてそれぞれの八重咲き種がある。
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ハマナスの基本データ
【分類】バラ科/バラ属
落葉広葉/低木
【漢字】浜梨(はまなす)
【別名】ハマナシ
【学名】Rosa rugosa
【英名】Japanese rose
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】1~2m
【用途】公園/海岸緑地/花木
【値段】2000円~