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ハナノキ/はなのき/花の木
Hananoki tree
【ハナノキとは】
・長野県、岐阜県及び愛知県の県境地域と長野県大町市、滋賀県の一部地域にのみ自生する日本固有のカエデの一種。自生の個体数は減っているが、風変わりな花が咲き、紅葉もキレイなため造園用に他の地域にも広がっており、全国の街路や公園に植栽される。
・春の芽出し前(3月~4月)に、木全体が赤く見えるほど花をつけ、遠くから花がよく目立つ木であるため「ハナノキ」と名付けられた。花は濃い紅色の珍奇な形状であり、話題性はあるが美しくはない。花が目立つカエデとしては他にハウチワカエデがある。
・雌雄異株であり雄の木には雄花が、雌の木には雌花が咲く。雄花の花弁は0~5枚で、雄しべは5~6個。先端の黄色い葯が目立つ。雌花には4~5枚の花弁があるが雄しべはなく、花柱(雌しべ)の先は二つに裂けてVサインのようになる。一般的に雄花の方が数が多く、華やかさもある。
・冬芽は5~7対もの「鱗片葉」と呼ばれる厚い葉で覆われるため大きくて目立つ。葉は長さ4~7センチ、幅3~8センチで他のカエデ類と同じように枝から対になって生じる。幅の広い卵形で先端は浅く三つに裂けてトウカエデに似るが、縁にギザギザがある点が異なる。葉柄は長さ2~8センチほど。
・花の後には長さ2センチほどの果実ができて5月頃に熟す。これも他のカエデ同様のプロペラ状になるが、翼はあまり開かない。ハナノキは6500万年前に温暖だった北極圏で繁茂し、その後の氷河期を耐え抜いた種であるが、人為的な繁殖は難しい木であり、自生地では天然記念物に指定されるハナノキもある。
・樹皮は白っぽい灰色だが、稀に白さが際立つ個体がある。樹齢を重ねると縦に浅く裂ける。
【ハナノキの育て方のポイント】
・自生地は山間の湿地だが、比較的、土質を選ばずに育つ。
・花や紅葉を十分に楽しむには日向に植える必要がある。
・枝振りが整いやすいため、広い場所であれば剪定せずに自然樹形を楽しむのが望ましい。剪定によって小さく維持すれば個人宅でも維持できるが、剪定には技術とセンスを要する。
・繁殖させるためには、雌雄両方の木を植える必要がある。
【ハナノキの品種】
北アメリカ東部に分布するハナノキの仲間。ハナノキよりも多くの花が咲き、葉の切れ込みはより深い。カナダの国旗にデザインされるサトウカエデも近縁種の一つ。
【ハナノキに似ている花木】
フサザクラ科の落葉樹。「サクラ」といっても本種と似たような地味な花を、同じ時期に咲かせる。
【ハナノキに名前が似ている木】
・お寺や墓地に植えられるシキミをハナノキと呼ぶ地方もあるが、本種と関連はない。
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ハナノキの基本データ
【分類】ムクロジ科/カエデ属
落葉広葉/高木
【漢字】花の木(はなのき)
【別名】ハナカエデ
【学名】Acer pycnanthum
【英名】Hananoki tree
【成長】やや早い
【移植】難しい
【高さ】15~25m
【用途】公園/街路樹
【値段】1500円~