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ハゼノキ/はぜのき/櫨
Japanese wax tree
【ハゼノキとは】
・関東地方以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するウルシ科の落葉樹。山野に自生するが、四季を通じて変化に富むため、関東以西では庭木として使われる。特に紅葉が美しく、別名をハゼモミジという。
・原産地は中国、東南アジア、インドなどだが室町時代以降(諸説あり)に渡来し、果実から蝋を採取するために栽培していたものが、後に野生化したと考えられている。昭和初期までは和蝋燭や鬢付け油などに本種の蝋を用い、ロウノキと呼ばれることもある。
・別名の「リュウキュウハゼ」はハゼノキを使った蝋作りの文化が琉球王国から伝播したことに由来する。また、材木として扱う場合は単にハゼという。
・ハゼノキの開花は5~6月。黄緑色の小花には5枚の反り返った花弁があり、円錐状の房になって密生する。雌雄異株であり、雌株にしか果実はならない。
・果実は直径1センチほどの楕円形で、9~10月になるとクリーム色~淡い褐色に熟す。中にはツルツルしたオレンジ色の種子が入っているが、蝋燭に使うのは種子ではなく皮の部分(外果皮に包まれた中果皮)。ハゼノキなど樹木から採取した蝋を「木蝋」あるいは「櫨蝋」という。
・果実に味はないが高カロリーな果肉は野鳥の食料となり、シジュウカラ、メジロ、ジョウビタキ、コゲラ、アオゲラ、ルリビタキ、ルリカケスなどがこれを好んで食べる。
・葉は4~8対の小葉が集まって羽根状になる。小葉は質厚で先が長く尖った楕円形。縁にギザギザはなく、両面とも無毛。本種が渡来する前はヤマハゼやヤマウルシを蝋燭づくりに使っており、それらを「ハジ」と呼んでいた。
・「ハジ」は紅葉の色合いが埴輪に似ているとして、埴輪を作る職人「埴師(はにし)」に由来するもの。あるいは素焼きの土器を意味する「土師器(はじき)」が転訛したという説もあり、それがハゼノキに流用された。暖地でも美しく紅葉する貴重な木として各地に植栽される。
・幹を傷つけるとウルシのような樹液が出てくるが、ウルシのように塗料として使うことはほとんどない。しかし、染料としては秀逸であり、平安時代から天皇の装束「黄櫨染御袍」に使われる。
・幹の直径は最大で60センチほど。材はウルシやニガキと同じように鮮やかな黄色となる。軽量かつ弾力があり、黄色を生かして寄木細工に、弾力性を生かして和弓の部材に使われる。
【ハゼノキの育て方のポイント】
・日当たりと水はけが良く、なおかつ栄養分のある場所を好む。
・病害虫の被害はほとんどない。
・葉を落としている冬季が剪定の時期。刈り込まずに不要な枝を付け根から切除する。しなやかな枝振りを楽しむ木であって、しっかりと樹形をまとめるような手入れは向かない。また、本来は剪定されるのを好まない木であり、強度の剪定によって枝が枯れ込むこともある。
・自生は海沿いの山地に多く、寒さにやや弱い。植栽の適地は関東地方以西となる。他の地域では盆栽などとして鉢植えで楽しむのがベター。
・皮膚が弱い人は、かなりの確率でかぶれるため、注意が必要。
【ハゼノキに似ている木】
・ヤマハゼ~日本の自生種でハゼノキに似るが、枝葉に毛がある。
・ウルシ
・ヌルデ
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ハゼノキの基本データ
【分類】ウルシ科/ウルシ属
落葉広葉樹/高木
【漢字】櫨(はぜのき)
【別名】ハゼ/リュウキュウハゼ
ロウノキ/ハジモミジ
サツマハゼ/コウロ(黄櫨)
【学名】Toxicodendron
succedaneum
【英名】Japanese wax tree
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】5m~10m
【用途】雑木の庭/盆栽/採蝋用
【値段】800円~