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ハコネウツギ/はこねうつぎ/箱根空木
Japanese weigela
【ハコネウツギとは】
・北海道南部、本州、四国及び九州に分布するスイカズラ科の落葉樹。日当たりのよい沿岸部の山地に自生するが、二色に咲き分けるカラフルな花を観賞するため、庭木として庭園や公園にも植栽される。
・名前はハコネウツギだが、箱根に多いわけではなく、誤認によるものとされる。「~ウツギ(空木)」は幹が中空であることを意味しており、ウツギの仲間ではない。ただし実際は中空ではなく、白い髄が詰まる。
・ハコネウツギの開花は5~6月で、枝先や葉の付け根付近に、漏斗型の花を2~3輪ずつ咲かせる。花は長さ3~4センチほどで先端は五つに裂け、5本ある雄しべが目立つ。似たような~ウツギが多いが、本種は花筒が上部で急に膨らみ、角ばったようになるのが特徴。
・咲き始めの花は白だが、開花中に色素が変化し、順次、薄ピンク、紅色と三段階に移り変わる。これら三色が一つの枝で同時に咲くのが本種の見どころ。
・別名のゲンペイウツギ、サキワケウツギはいづれもこうした花の色の変化によるもの。ゲンペイは紅白をそれぞれのシンボルカラーとした源氏と平家にちなむ。クロウツギ、クロハギなどの地方名もある。
・花の後には乾いた果実ができ、10~11月頃、灰褐色に熟すと自然に裂けて翼のある小さな種子をこぼれ落とす。果実は細長い徳利のような形で長さは2~3センチ。
・葉は長さ8~15センチの卵形で縁には細かなギザギザがある。先端は急に鋭く尖り、基部はクサビ形。落葉樹としては質厚で、表面に光沢があり、裏面は脈の上だけに細毛がある。若菜は食用とされたほど柔らかい。葉柄は短く、細かな毛がある。
・枝は灰褐色で無毛。分岐が多く、株立ち状に育つ。幹の直径は最大15センチほど。樹皮は樹齢を重ねると縦に浅く裂ける。
【ハコネウツギの育て方のポイント】
・放置すれば大きくなるが、芽を出す力が強く、剪定にも耐える。花後に切り戻せば背丈が低いまま管理できる。
・自生は海辺が多く潮風に強い。防潮用樹として海沿いの緑化に用いることができる。
・日陰では生育が悪いものの、半日陰程度であれば開花するため、他の木の下草として使うこともできる。
・暑さ、寒さ、大気汚染、病害虫に強い。
・挿し木で簡単に増やすことができる。
【ハコネウツギの品種】
・斑入りハコネウツギ
葉に白い模様が入る品種。
・ニオイウツギ
伊豆諸島に自生する変種で、花はより小さいものの芳香がある。
【ハコネウツギに似ている木】
北海道と本州の日本海側に多い近縁種。花はピンク(あるいは白)一色であり、ハコネウツギのような変化はない。また、花筒は単純な円錐形で、釣鐘型になるハコネウツギとは異なる。葉の裏全体が白毛で覆われるのも本種との違い。別名「ベニウツギ」だが、ハコネウツギをベニウツギと称する場合もあり混乱しやすい。
本州、四国及び九州に自生する近縁種で箱根にも自生する。花筒の基部は細く、葉は薄くて柔らかで光沢がない。咲き始めの花は白く、後に暗い紅色になる。
・サンシキウツギ
富士山麓に見られる近縁種。全体に毛が多く。花は咲き始めから紅紫色に。
関東以西の太平洋岸に分布。花は濃い紅色で花冠には短毛が密生する。
・ウコンウツギ
北海道に多い品種で、黄色い花を咲かせる。
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ハコネウツギの基本データ
【分類】スイカズラ科/タニウツギ属
落葉広葉 低木~小高木
【漢字】箱根空木(はこねうつぎ)
【別名】サキワケウツギ/ベニウツギ
ゲンペイウツギ(源平空木)
キンタイカ(錦帯花)
【学名】Weigeia coraeensis
【英名】Japanese weigela
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】2m~5m
【用途】公園/防潮/切り花
【値段】600円~