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ムレスズメ/むれすずめ/群雀
Chinese peatree
【ムレスズメとは】
・中国北部を原産とするマメ科の落葉樹。サクラが散る頃に咲く鮮やかな黄色い花を観賞するため、庭木、垣根、花材などに使われる。中国名は「金雀花」で、和名のムレスズメ(群雀)はこれを日本風にアレンジしたもの。日本へ渡来したのは江戸時代とされる。
・ムレスズメの開花は4~6月で、長さ2~3センチの花が葉の脇で下向きに咲く。花はエニシダに似た蝶形だが、花の後方にある萼筒はエニシダのそれよりも長く、よく目立つ。咲き始めは黄色だが、次第に赤みを帯びてくる。季節外れの狂い咲きも多い。
・細い枝に雀が並んでとまっているように見えためムレスズメになったという説が分かりやすいが、中国での「雀」は日本でいうスズメではなく、ヒワの仲間のこと。また、別名キンケイジのキンケイ(金鶏)は、中国やミャンマーに生息するキジの仲間。
・花の後にできる果実は扁平した円筒形で、長さは3~4センチほど。しかし日本では結実が難しいとされ、繁殖は挿し木や株分けによる。
・葉は二対の小葉からなる羽根状で、先端1枚がない「偶数羽状複葉」。枝先側の2枚の方が大きく、短い枝では束になって生じるが、長い枝では互い違いに生じる。
・主だった幹はなく、細い枝が地際から多数生じる。樹皮には黄褐色の斑点があるが、成長に伴って剥離しやすい。枝にあるトゲは前年の葉軸や托葉から変化したものだが、触れてもそれほど痛くない。
・発酵させたムレスズメの根から抽出したエキスは、ファンデーションなどのスキンケアに使われる。
【ムレスズメの育て方のポイント】
・丈夫な性質を持ち、乾燥地でも湿地でも土質を選ばずに育つが、花を十分に観賞するには肥沃な日向がより良い。
・樹形はまとまりにくく、成長も早いため鉢植えや盆栽としてコンパクトに管理するのがよい。
・地植えの場合、他の庭木の近くに植えると景色が馴染みにくいため、大木の根元や石の近くに単独で植えるのが良い。
・剪定は株立ちにする場合は、不要な幹を根元から切除し、不用意に広がらないようにする。秋以降の剪定は花数を減らすため避けるのがベター。また、4,5年に一度はすべての幹を株元で切除して更新すると、樹勢を維持できる。
・株元から次々に地下茎を出し、それによって横に広がっていくため、株分けをして増やすことができる。
【ムレスズメの品種】
・コバノムレスズメ
朝鮮半島、中国などに自生する種類で、本種よりも小さめの花を咲かせる。
・オオムレスズメ
中国北東部~シベリアを原産とする品種で樹高は5m近くに育ち、葉は4~6対の小葉からなる。
・シダレムレスズメ
名前のとおり、枝が垂れる品種で、樹形がまとまりやすいため本種よりも好んで使われる。
・ツクシムレスズメ
常緑性の品種で、本種よりも遅い時季に白い花を咲かせる。また、同じマメ科のエンジュに似た実をつける。
ムレスズメの基本データ
【分類】マメ科/ムレスズメ属
落葉広葉/低木
【漢字】群雀(むれすずめ)
【別名】金雀花/錦鶏児(キンケイジ)
【学名】Caragana chamlagu Lam.
【英名】Chinese peatree
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】1~2m
【用途】鉢植え/切花/盆栽
【値段】800円~