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ドロノキ/どろのき/泥の木
Japanese Poplar
【ドロノキとは】
・本州中部以北の深山などに見られるヤナギ科の落葉樹で、サハリン、カムチャッカ、朝鮮半島などアジア東北部にも分布する。ポプラの仲間だが現代の庭園で庭木とする例はほとんどない。旧満州国では防風目的の街路樹として用いられた。
・葉は長さ6~12センチほどの卵形あるいは楕円形で、基部はハート形になる。裏面は白く、縁にはギザギザが目立つ。葉脈は凹み、表面に皺が多いのが特徴。枝や冬芽からは多量の樹脂を分泌し、手で触れると粘々して不快な思いをする。ヤマナラシに似るが葉柄の断面は円形で、長楕円形になるヤマナラシと異なる。
・ドロノキの開花は4~6月頃で、葉の出る前あるいは葉と同時。雌雄異株で、雄株に垂れ下がる雄花の花序は長さ6~9センチほどの穂状で、赤い葯が目立つ。雌株に垂れ下がる雌花は黄色。雌花の後にできる果実は7~8月頃に熟すと自然に裂け、中から綿毛のある種子が顔を出す。このためドロノキは別名をワタノキやキワタなどという。
・種子の綿毛は「柳絮(りゅうじょ)」と呼び、これを集めて綿の代用にすることもあったが、飛び散って道路や住宅地に堆積するため、時に邪魔者扱いされる。
・樹皮は若木のうちは白いが、樹齢を重ねるに従ってグレーになる。画像のようにソロバン玉に似た模様が浮かび上がって美しい。ドロノキという名は、この樹皮の色合いにちなむという説、材の柔らかさを泥に喩えたという説、火力が弱く薪炭にならない=価値がないことを泥に喩えたという説がある。
・幹は直径1.5m~2mほどになるが、材は白くて柔らかいため、建材には使われない。その特性を利用して爪楊枝やマッチの軸、下駄、経木、小箱、パルプ等とされる。
【ドロノキの育て方のポイント】
・原産地は川岸や渓谷など湿地の多い場所であり、乾燥地では育てるのが難しい。
・軽くて養分の多い砂地を好む。
・芽を出す力が強く、剪定には十分に耐える。
・実生、挿し木で増やしやすい。直径3センチ×長さ30センチの枝を半分以上、水湿地に挿しておけば根付く。
・サメハダハマキチョッキリやドロハマキチョッキリという甲虫が寄生し、葉が丸まることがある。また、ドロエダタマワタマシによって枝に「虫こぶ」ができることがある。
【ドロノキの品種】
・ニオイドロ
北海道や本州のごく一部(立山、仙丈岳)に分布し、新芽や若葉の香りが強い品種。葉に皺が多いためチリメンドロという別名がある。
【ドロノキに似ている木】
・ギンドロ
南ヨーロッパや中央アジアを原産とする仲間で、葉の裏が銀白色になって美しいため、街路樹や庭木に使われる。
・ポプラ
ヨーロッパあるいは西アジアを原産とする仲間で、日本全国の公園や並木に使われる。
北海道から九州に至る日本全国の山地に見られるヤナギ科の落葉樹。風でそよぐ葉音の様子からヤマナラシと呼ばれる。
ドロノキの基本データ
【分類】ヤナギ科/ヤマナラシ属
落葉広葉/高木
【漢字】泥の木(どろのき)
【別名】ドロヤナギ/デロ/ドロ
ワタノキ/ワタドロ/キワタ
チリメンドロ/ドロボウ/
ドロッペイ/ヘロッポ/バタバタ
【学名】Populus maximowiczii
【英名】Japanese Poplar
【成長】かなり早い
【移植】困難
【高さ】15~30m
【用途】公園/材木
【値段】2000円~