庭木図鑑 植木ペディア > セイヨウボダイジュ
セイヨウボダイジュ/せいようぼだいじゅ/西洋菩提樹
Linden tree
【セイヨウボダイジュとは】
・ヨーロッパ中南部に広く分布するシナノキ科の落葉樹。シナノキの雑種で中世ヨーロッパでは「自由」を象徴する木とされた。日本では時に「リンデン」と呼ばれ公園や街路に植栽される。シューベルトの「リンデンバウム」は、この木のこと。
・釈迦が悟りを啓いたとするのはインドボダイジュの下であり、本種との直接的な関連はない。
・セイヨウボダイジュの開花は5~6月で、直径1.5~3センチほどのクリーム色の花が複数集まって咲く。花弁と萼はともに5枚で、多数ある雄しべは花弁の外へ広がり、一般にボダイジュよりも大きく開く。基部には近縁種同様にヘラ形の苞葉がある。
・花には微香があり、虫がよく集まる蜜源樹木となっている。花は葉ともに「コモンライム」の名でハーブとして流通する。雌雄同株で花に雌雄の別はなく、花の後には球形の果実ができ、10月に熟す。
・セイヨウボダイジュの葉は直径6~15センチの大きなハート形で左右非対称。質は薄く、縁には不揃いなギザギザがある。似たような木にフユボダイジュがあるが、葉は本種の方が大きく、秋の黄葉が美しい。また、枝葉の全体に粗い毛があるためゴワゴワした印象がある。
・原産地では樹高30mを超える巨木となるが、日本での樹高は5~15mほど。樹皮は暗い褐色で、樹齢を重ねると縦に裂け目を生じる。樹皮から採取する繊維は工芸品など様々な用途に使用され、「千の用途のある木」と呼ばれる。
【セイヨウボダイジュの育て方のポイント】
・フユボダイジュよりも耐寒性が低いが、北海道中南部以南であれば植栽できる。大気汚染や塩害には強い。
・湿気のある肥沃地を好む。
・樹形は端正で、枝は長く垂れ下がる。基本的には大木となるため、一般家庭には向かない。
【セイヨウボダイジュに似ている木】
・シナノキ
セイヨウボダイジュよりも葉は小さくて光沢がある。
インドや東南アジアの熱帯を原産とするクワ科の常緑樹。釈迦がこの木の下で悟りを開いたとされる。セイヨウボダイジュとは名前以外に関連はない。
|
セイヨウボダイジュの基本データ
【分類】シナノキ科/シナノキ属
落葉広葉/高木
【漢字】西洋菩提樹
(せいようぼだいじゅ)
【別名】ナツボダイジュ(夏菩提樹)
セイヨウシナノキ
【学名】Tilia platyphyllos
【英名】Linden tree
Broad-leaved lime
Bigleaf linden
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】5~35m
【用途】公園/街路樹/シンボルツリー
【値段】3000円~