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ネコヤナギ/ねこやなぎ/猫柳
Pussy Willow
【ネコヤナギとは】
・日本各地に分布するヤナギ科の落葉樹。川岸や田の畔などの水辺で普通に見られるヤナギであり、シダレヤナギと並んでヤナギの仲間を代表する。日本以外でも朝鮮半島や中国の東部に自生が見られる。
・3~4月にできる綿毛のある花穂が、ネコのしっぽのようで愛くるしく、庭木や生け花としても利用される。ネコではなくイヌのしっぽになぞらえて、エノコロヤマギと呼ぶ地方もある。日本のヤナギでは最も早く開花する。
・花は画像のように絹毛をまとった尻尾状で、葉に先立って展開する。ヤナギの仲間はすべて雌雄異株で、雄木には雄花、雌木には雌花が咲き、雄花の方が大きいという特徴がある。本種も雄花の方がより大きく、生け花には雄花が使われる。雄しべは赤く、黄色い花粉にまみれている。
・ネコヤナギの葉は画像のように長楕円形でシダレヤナギのそれとは異なる。葉の縁には細かなギザギザがあり、葉の裏側には軟毛がびっしりと生えている。遠目には白っぽく見える。
・雌花は5~6月になると絹毛を密生させた灰色の実となる。実は熟すと二つに裂け、中にある種子が顔を出す。種子は白い綿毛を使って風に乗って拡散する。ヤナギの種子を一般に柳絮(りゅうじょ)という。
・ネコヤナギは個体によって枝の出方が異なるが、たいていは上向き、あるいは水平に生じる。変種のネコシダレ(下記)を除き、シダレヤナギのように枝が垂れることはない。
・成長はかなり早いが、一本一本の幹は短命であり、それほど大きくならない。材は柔らかく、まな板に向くとされるが大きな材はとれない。
【ネコヤナギの育て方のポイント】
・暑さ寒さに強く、北海道から九州まで日本全国に植栽できる。
・自然分布は湿地であり、乾燥には弱いと思われがちだが、乾燥にも耐え、土質も選ばない。
・剪定の適期は花が終わった4月中旬。枝を短く切り詰めるような方法が一般的だが、剪定ばさみでザックリと刈っても急に枯れこむようなことはない。しかし、毎年繰り返すと樹勢が衰える上、風情もなくなる。半端な剪定はせず、株元で幹を切って、新たな幹を残すような手入れが望ましい。
・実生でも増やすことができるが、挿し木で増やすのが一般的。2~3月上旬に前年(あるいは前々年)の枝を20~30センチの長さで切り、湿った土地に挿す。
【ネコヤナギの品種及びネコヤナギに似ている木】
・フイリネコヤナギ
葉に白い模様の入る品種で、園芸用として稀に流通する。
ネコヤナギと同様に生け花に使われる。花穂に白い毛がなく、開花するまで雄花の花序は真っ黒であるが。れっきとしたネコヤナギの変種。雄株だけが知られる。
・ネコシダレ
枝が垂れる園芸品種。希少品でありあまり流通していない。
・フリソデヤナギ(ピンクネコヤナギ)
ネコヤナギとバッコヤナギの雑種。でき始めの花穂が紅色を帯びて美しく、その姿を振袖に見立てて命名された。切花用に好まれる。
・バッコヤナギ
ネコヤナギに似た花を咲かせるヤナギ。樹高15m以上、直径50~60センチになり、材木用のヤナギの多くはこれが占める。「バッコ」は東北弁で老女を意味するバッコ、あるいは牛を意味するベコに由来し、別名をヤマネコヤナギまたはサルヤナギという。
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ネコヤナギの基本データ
【分類】ヤナギ科/ヤナギ属
落葉広葉/低木
【漢字】猫柳(ねこやなぎ)
【別名】エノコロヤナギ/コロコロ
ネコニャンニャン
チンコロ/カワヤナギ
【学名】Salix gracilistyla
【英名】Pussy Willow
【成長】かなり早い
【移植】普通
【高さ】1~3m
【用途】水辺/切り花
【値段】800円~