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サワグルミ/さわぐるみ/沢胡桃
Japanese wingnut
【サワグルミとは】
・北海道南部から九州の各地に分布するクルミの仲間。谷川のほとりや沢沿いの斜面に群生するため、サワグルミと名付けられた。特に東北に多く、東北では地方を代表する木とされる。庭木としての馴染みは薄いが、水辺の景観を作るために使われることもある。日本以外では中国の山東省に自生。
・葉は5~10対の小さな葉が集まって羽根状になり、全体として20~80センチほどの長さに。小葉は長楕円形で長さは5~10センチほど。葉の幅はオニグルミよりも狭く、しなやかな枝葉は新緑が美しい。落葉性で秋になると黄葉するが、枝には落葉した葉柄の痕が大きく残る。
・サワグルミの開花は4~6月。雌雄同株で一つの木に雌雄の花が咲く。雌花は赤い柱頭があるため全体がピンク色に、雄花には黄緑色の葯があって全体が緑色に見える。花序(花の集り)は10~20センチほどの長さ。垂れ下がるその姿をフジの花に見立てたフジグルミという別名がある。
・花が終わると雌花の花序は果序となり、長さ1.5センチほどの果実が10~30個連なって10月頃に茶色く熟す。いわゆるクルミらしさはなく、カエデ類のような翼と小さな種子があり、食用にはならない。日本に自生するクルミはほかにオニグルミ、ヒメグルミ、ノグルミなどがあるが、食用にはもっぱら中国産のテウチグルミなどが使われる。
・老木の樹皮は暗灰色で自然に剥がれ落ちる。その美しさから「寿光皮」と称され、工芸品や細工物に使われる。材は白くて柔軟かつ強度があるため、ポプラ属の木(ドロノキ、ヤマナラシ、ポプラなど)の代用としてマッチの軸木に、ヤマギリの名でキリの代用として下駄に使う。
【サワグルミの育て方のポイント】
・名前のとおり湿気のあるところでよく育つ。また、肥料分も必要とするため都会のやせ地で育てるのは難しい。
・幹がすらりと直立し、壮大な樹形が美しい。このため相応のスペースがある場所に植えるのが望ましい。
・11月ごろに採種してまけば、ほぼ100%発芽する。
【サワグルミに似ている木】
・シナサワグルミ~中国を原産とする種。日本のサワグルミよりも丈夫で、環境の悪い場所にも耐えることから、街路樹や都市部の公園などにも使われる。サワグルミよりも樹形が大振りになりやすい。
・ヒッコリー
北アメリカを原産とするクルミの仲間。材に強度があるため、主に材木として流通する。
【サワグルミとシナサワグルミの違い】
・葉の違い
サワグルミの葉は「奇数羽状複葉」と呼ばれるタイプのもので、葉序の先端に葉が一枚あるが、シナサワグルミは偶数羽状複葉で、先端の1枚がない。また、シナサワグルミの葉の軸にはヌルデやニシキギのような翼がある。
・果実の違い
サワグルミの果実を囲む翼は円盤状だが、シナサワグルミでは細く水平に伸びる。
サワグルミの基本データ
【分類】クルミ科/サワグルミ属
落葉広葉/高木
【漢字】沢胡桃(さわぐるみ)
【別名】カワグルミ(川胡桃)
フジグルミ(藤胡桃)
【学名】Pterocarya rhoifolia
【英名】Japanese wingnut
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】10~30m
【用途】公園
【値段】800円~