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トネリコ/とねりこ
Japanese Ash
【トネリコとは】
・本州中部以北に見られるモクセイ科の落葉樹。山地の湿地に自生し、かつて関東や中部地方の稲作地ではハンノキなどと同様に本種を水田の稲架けに用いた。庭木として大人気のシマトネリコは本種の近縁だが、本種が庭木として使われることは稀。
・トネリコは暖帯に育ち、冬季に葉を落とす落葉樹だが、シマトネリコは基本的には常緑樹で、台湾、沖縄、フィリピンなどの亜熱帯を原産とする。シマトネリコに対して本種をサトトネリコと呼んで区別する。
・葉は小葉が複数集まって長さ20~35センチほどの大きな羽根状になる。トネリコの葉はシマトネリコの葉よりも大きく、表面はくすんだようになる。
・トネリコの開花は4~5月で葉の展開と同時。雌雄異株で雌株には雌花が、雄株には雄花が咲くが、いづれも花弁はなくアオダモのような地味な花。雌花には先端が二つに裂ける柱頭(雌しべ)と退化した二つの雄しべがあり、雄花には雄しべが二つある。
・雌花の後には翼のある乾いた果実が多数連なる。果実もシマトネリコに似るが、長さが3~4センチあって、より大きい。果実が熟のは10月頃だが熟しても自然に裂けることはない。中には長さ1センチほどの種子が含まれる。
・トネリコの名は、この木の皮を煮て得たニカワを、墨と共に練って写経に使ったことに由来する(共に練る濃)。また、枝についたイボタロウ(あるいはカイガラムシ)の分泌物をワックス代わりに戸の溝に塗って滑りをよくしたため「戸に塗る粉」でトネリコになったという説もある。
・樹皮は暗い灰色で、樹齢を重ねると縦に割れ目を生じる。樹皮は漢方で「秦皮(しんぴ)」といい、昔から眼の病気や痛風に効果があるとされる。
・トネリコの材は緻密かつ柔軟であるため、アオダモなどとともに野球のバットやテニスのラケット、農具、傘の柄、家具などに使われる。弾力性が高いため特に曲げ物細工に向くとされる。同様に類種のセイヨウトネリコ(イギリス原産)やアメリカトネリコ(アメリカ原産)はアッシュと呼ばれ、楽器や英国製の高級ステッキに使われる。
【トネリコの育て方のポイント】
・土質を選ばず丈夫に育つが、基本的には大木となることや枝振りが大雑把であるため、庭木として使うことは少ない。
・あまり剪定を好まず、剪定によって樹形を乱しやすい。
・湿気を好み、過度の乾燥や夏の暑さにはやや弱い。
・チョウセンアカシジミやテントウミノハムシによって葉を食害されやすい。
【トネリコに似ている木】
・オオトネリコ(ヤマトアオダモ)
奥尻島、本州、四国及び九州の山地に分布する品種で樹高が15~25mに達する。
・ツクシトネリコ
本州及び九州に見られる木で、オオトネリコ(ヤマトアオダモ)の変種とされる。裏面の葉脈上に細かな毛が生じるため別名をウラゲオオトネリコなどともいう。
・アメリカトネリコ
一般にホワイトアッシュあるいは単にアッシュと呼ばれる木であり、建材、合板、楽器そしてバットに使われる。アメリカ東部及び南部を原産とし、18世紀初頭にはイギリスへ渡来した。幹は蜂の巣のようで美しいが、中身はそれほどでもない。
・チョウセントネリコ
朝鮮半島を原産とするトネリコで、日本のトネリコよりも大きな葉を持つ。別名はオオトネリコ
一般的にはネグンドカエデと呼ばれる、アメリカ原産の西洋カエデ。葉の形が本種に似るが、分類上の関連はない。
・シオジ
本州中部以南の太平洋側に分布する同科同属の落葉樹。家具材として使われる。
・ヤチダモ
北海道及び岐阜県以北の本州に分布する近縁種。寒冷地の沢や谷川沿いに自生するため「谷地ダモ」と呼ばれる。
トネリコの基本データ
【分類】モクセイ科/トネリコ属
落葉広葉/高木
【漢字】─(とねりこ)
【別名】サトトネリコ/タモノキ
カントウトネリコ/タモ
【学名】Fraxinus japonica
【英名】Japanese Ash
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】10~15m
【用途】公園/材木
【値段】2000円~