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エンコウカエデ/えんこうかえで/猿猴楓
Enkou kaede
【エンコウカエデとは】
・岩手県以南の本州、四国及び九州の太平洋側を中心に分布する落葉高木。イタヤカエデの変種で大木となるため庭木として使われることは少ないが、関東近郊の山々でも見掛けることができる。
・画像ではわかりにくいが葉の裂片が細長く裂ける様子や、5~12センチになる長い葉柄を「猿猴=テナガザル」に見立てて命名された(「猿の手の甲=猿甲」を語源とする説もある。)。
・葉の縁にはギザギザがなく、深く5~7つに裂けるのが普通で、樹齢が低いほど裂片がテナガザルのように細くなる。新芽はやや赤みを帯びるが季節の移ろいと共に緑色になり、秋になると画像のように黄葉し、かなり目立つ。
・開花期は春(4~5月)で、枝先から伸びた花序に雄花と両性花の両方が混在して咲くが、他のカエデ類同様に黄緑色の小さな花で目立たず、また、稀にしか咲かない。雄花は花粉の着いた多数の雄しべがあり、両性花では雌しべの周囲を退化した雄しべが取り囲む。花が咲けばその後、翼のある果実ができ、風によって拡散される。
・成長がかなり早いことや、材が重くて硬いことから床柱や器具材として使われる。
・イタヤカエデの若い木でも葉が深く裂けることがあり、本種と見分けるのが難しい場合が多い。両者を区別する必要はないとの説もある。
【エンコウカエデの育て方のポイント】
・自生は山地の谷沿いに多く、基本的には湿り気のある肥沃な土地を好むものの、丈夫な性質を持ち、あまり環境を選ばずに育つ。ただし、綺麗な黄葉を見るためには日向に植える必要がある。
・耐寒性はあるものの、積雪の多い地方では育てるのが難しい。
・成長が早く、カエデの中でも巨木になる部類で、直径1mに達するものも見られる。このため大胆に剪定されることが多いが、夏場に大枝を切ると枯れこみやすい。
【エンコウカエデの品種】
・ウラゲエンコウカエデ(Acer mono var.connivens)
葉の裏面の主脈と基部に毛が多く、遠目からは白っぽく見える。
【エンコウカエデに似た木】
エゾイタヤ オニイタヤ アカイタヤ
エンコウカエデの基本データ
【分類】ムクロジ科/カエデ属
落葉広葉/高木
【漢字】猿猴楓(えんこうかえで)
【別名】ナナバケイタヤ/アサヒカエデ
【学名】Acer pictum Thunb. subsp.
dissectum (Wesm.)
【英名】Enkou kaede
【成長】かなり早い
【移植】簡単だが、実生で増やすことが多い
【高さ】3m~20m
【用途】公園/雑木の庭
【値段】1200円~